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スタック技術を利用した 高出力青色半導体レーザ

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May, 7, 2018, 東京--独レーザーライン社(Laserline GmbH)は、「2018国際ウエルディングショー」に併せてプライベートセミナーを開催した。セミナーでは、「最新の自動車車体向け半導体レーザアプリケーション&新しいビームシェイピングトレンド」、高出力青色半導体レーザの開発状況などが紹介された。

レーザーライン社の高出力化技術
 レーザーライン社は、1997年設立された高出力半導体レーザおよび、それを利用した加工システムを製品化しているドイツの企業。同社によると、装置の納入実績はグローバルで4500台を超えており、従業員数は現在、320名に達している。
 セミナーでは、同社のコア技術、「最新自動車車体向けダイオードレーザアプリケーション&ビームシェイピングの最新トレンド」、「高出力ダイオードレーザの最新産業アプリケーション」が紹介された。
 自動車車体向けアプリケーションでは、ドイツの自動車メーカーのAudiの製造で採用されているレーザーライン社製品の利用例をあげて最新アプリケーションを紹介した。ここでは、同社のコア技術について皆川邦彦氏の紹介を見ておこう。
 レーザーライン社のコア技術の1つは半導体レーザダイオードであるが、高出力化のための積層化技術に同社の特徴がある。LD素子から最大300W超を出力するレーザバーを層状にスタックすることで500W〜4kWを出力する積層LDスタックモジュールとすることができる。さらに、そのスタックモジュールを組み合せることで波長合成、偏波合成して最大25kWを出力するシステムが実現する。同社製品、LDF製品ファミリーの最大出力は25kWとなっている。
 これ以外にも同社のユニークな技術として、皆川氏は、ビームコンバータ搭載の製品モデル、「ハイブリッドレーザ」を紹介した。これは、半導体レーザ出力を分岐し、一方をアクティブファイバに入力し、ファイバレーザに変換することによって半導体レーザの出力とファイバレーザの出力の両方を利用することができる、まさに半導体レーザとファイバーレーザの「ハイブリッド化」された技術である。

スタック技術を利用した高出力青色レーザ
 レーザーライン社は、ドイツ教育科学・研究技術省(BMBF)助成EFFILAS内の研究プロジェクト、”BlauLas”で、OSRAMと共同で、1kWを超えるCWファイバ結合ブルー(青色)ダイオードレーザの実現を目指している。
 青色半導体レーザ(波長450nm)製品については、これまでに本誌ウエブニュースで取り上げている。1つは、NEDOが発表した開発成果。NEDOの説明によると、大阪大と島津製作所は、両機関が担当する「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」プロジェクト内サブテーマの1つである『高輝度青色半導体レーザー及び加工技術の開発』で、高輝度半導体レーザを開発した。島津製作所は、青色半導体レーザ「BLUE IMPACT」シリーズのラインアップに
新開発の製品を加え、1月30日から販売を開始したと発表している。
 また、フォトニクスウェスト2018では、NUBURUがAO-150ハイパワー青色レーザを発表した。
 これら先行2社の製品とレーザーライン社が製品化しようとしている製品との違いは出力である。NEDOの発表では、「世界最高クラスの高出力」とはいえ、出力は100W。またNUBURU
の製品AO-150は、製品名からわかるように150Wである。
 一方、レーザーライン社が開発している青色半導体レーザは、同社セールズマネージャー・アジア担当、マーカス・ルテリング氏の紹介によると、前2社の製品よりもはるかに高出力で、プロジェクトの最終目標は1000Wになると言う。このようなケタ違いの高出力は、上に見た同社のコア技術、「積層化技術」を利用しているからである。
 同社の説明によると、青色半導体レーザ、パッシブクールのシングルエミッタの出力は5W。これをアクティブクールのレーザバーにすることで50Wにスケールする。さらに、これをスタックして500Wに、このモジュールを偏波多重して1000Wにすることができる。
 この高出力青色半導体レーザは、レーザーライン社の19インチラックマウントタイプのLDMに実装される。製品化は、レーザーライン日本法人の社長、武田晋氏によると、来年を予定しているという。
(井上 憲人)