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太陽電池技術向けの新しい半導体材料を実証

November, 2, 2015, Liverpool--リバプール大学(University of Liverpool)は、希元素の代わりに太陽電池で利用するために「チューニング」できる豊富な元素から作製された新しい半導体材料を実証した国際研究チームの一部となっている。
 半導体は、エレクトロニクス産業にとって不可欠であり、スマートフォンから太陽パネルまであらゆるものに利用されているが、半導体はテルル、ガリウム、インジウムなどの希元素に依存しており、それらのコストや入手可能性について不安が高まっている。
 研究チームは、亜鉛・スズ・窒素化合物(ZnSnN2)にフォーカスした。これは最近になって、高価な希少金属の代わりに亜鉛やスズを使って世界中の研究者が合成したものである。亜鉛やスズは、成熟した再生工場ですぐに利用できる金属である。
 研究チームは、その化合物に取り組み、画期的なチューニングプロセスを発見した。このプロセスには、現在太陽電池で使用されている半導体材料を置き換える可能性を提供するものである。
 それは、バンドギャップが大きすぎて太陽電池のようなデバイスアプリケーションには適さないと、これまで考えられていた。ところが、研究チームは、ランダムに分布した亜鉛とスズの原子の形態に無秩序を導入することによって完全秩序化された結晶格子を変えることで合金のバンドギャップが「チューニング」できることを発見した。
 リバプール大学の再生可能エネルギー・ステファンソン研究所(Stephenson Institute)、物理学准教授、Dr Tim Vealは、「そのようなチューナビリティは、所望の結果を得るために、他の材料系では合金にする、あるいは他の元素に混ぜることで達成される。しかし、直近の発見を適用すれば、これはZnSnN2では不要である」とコメントしている。
 また、ウエスタンミシガン大学電気・コンピュータ工学教授、Dr Steve Durbinによると、MBEを使うことで温度や入射原子(または分子)ビーム率などのパラメータを注意深く調整し、結晶品質をコントロールできる。
 さらにDr Tim Vealは、「そうすることで、研究チームは多くのサンプルに広範な不規則性を観察することができ、これをバンドギャップエネルギーの大幅減と関連づけ、この材料を太陽電池向けの材料と考えるための道を開いた」と説明している。