コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

分散分光技術でナノ粒子溶液のカーボンナノチューブを分析する方法を開発

October, 13, 2015, Houston--ライス大学の研究チームは、溶液中のカーボンナノチューブを分析する強力な方法を開発した。
 研究チームの分散分光学技術は、希薄ナノチューブ溶液の小さな領域をクローズアップし、素早くスペクトルをスナップショットする。個々のスナップショットの組成を分析し、数千のスナップショットで差異を明らかにすることで、溶液中のナノ粒子のタイプ、数、特性についての新たな情報を得る。
 ライス大学化学者、Bruce Weismanは、分光学分野の先駆者であり、半導体カーボンナノチューブからの近赤外蛍光の発見と解釈のリーダー。同氏は、分散分光学がナノスケール材料の研究をする研究者にとって貴重なツールになると見ている。
 カーボンナノチューブは、一般に炉で成長させる純粋カーボンの中空シリンダー。そのタイプは何十もあり、物理的な特徴や潜在的な利用はタイプ毎に違う。しかし、1つのタイプだけを成長させる実用的な方法は存在しないので、物理的あるいは化学的な手段でタイプを分類する必要がある。Weismanによると、電子および光学的アプリケーション向けに特定のタイプを分類、分離する進行中の流れの中で、分散分光学はナノチューブサンプルの特徴を示すのに役立つ。
 研究チームは、ライスで成長させた単層カーボンナノチューブの分散試料でその特注用具をテストした。数千の小さな明確に区別できる領域からの蛍光スペクトルを捉えた。これらにスペクトルの統計的変動により、異なるタイプのナノチューブの数、個々のタイプの発光の強さが明らかになった。データをさらに分析することで、個々のタイプの「分離された」スペクトル、混ざり合ったサンプルの中の他のものと干渉しないことが分かった。
 「われわれがフォーカスするのは、サンプルのますます小さな利用であるので、巨視的なスケールで見る平均的で均一な振る舞いは崩壊し始め、物質の特殊な性質からの効果を見ることになる」と同氏は言う。
 「そのときには、観察された範囲内で粒子の数が不規則に変動する。われわれが行っていることは、スペクトルのランダムな変動を分析して、各タイプの粒子がいくつ存在し、それらが相互にくっつき合っているかどうかについて知ることである」。
 「われわれは、多様な構造をもつサンプルに注目し、個々の成分の特性についてもっと知ろうとしている。他の方法では非常に難しい情報を得るために複雑な混合を分光学的に分離する」。
 同氏によると、この方法は、ナノチューブの厄介な特徴、凝集にも対処できる。「分類するために分離方法を試そうとしても、それらがくっついているなら効果は得られない。タイプAが欲しくて、それがタイプBにくっついているなら、分離する作業に時間を浪費する。しかし分散分光計は、異なるタイプの粒子が実際にいっしょに動くかどうかを非常に高感度に示すことができる」。
 Weisman氏は、異なる分光プローブを用いることで、分散分光計が多くのナノ材料、例えば金ナノ粒子、量子ドットなどの分析にも拡張できると指摘している。