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自己掃引レーザ、3Dマッピングシステムを飛躍的に縮小

September, 11, 2015, Berkeley--光を使ってミラーを動かす新しいアプローチがレーザ技術の新しい世代で、リモートセンシング、セルフドライビング自動車ナビゲーション、3D生体医療イメージングなど、広範なアプリケーションに扉を開く。
 Connie Chang-Hasnain電気工学・コンピュータサイエンス教授をリーダーとするUCバークリーの研究チームは、光源が周囲の地形を掃引するにしたがい、光源の波長を変える方法を自動化する新しいコンセプトを利用した。
 このような進歩は、LIDAR、距離測、OCTを使うイメージング技術にとって重要な意味がある。
 Chang-Hasnain教授によると、「高速、自己掃引レーザは、現在市販されているLIDARやOCTの消費電力、サイズ、重量、コストを飛躍的に削減できる。現在、靴箱程度の空間を占めているコンポーネントをスマートフォンやUAVsに搭載できるほどにコンパクト、軽量に縮小できる」。
 LIDAR、OCTのいずれのアプリケーションでも、入ってくる反射光と出力光との差を計算できるように、レーザ動作にしたがってその周波数を変えなければならない。周波数を変えるためにはレーザキャビティ内の2つのミラーの少なくとも一つが高精度に動かなければならない。
 この研究を行ったUCバークリーのPh.D学生、論文の筆頭著者、Weijian Yangは、「ミラー制御に必要な機構は、現在のLIDARやOCTシステムを大きく、パワーハングーに、スローで複雑にしている一部である」と説明している。
 設計の新しさは、レーザとミラーとの集積にある。各レーザは数100µm2程度に小型にできるので、AAバッテリが容易に使用可能になる。
 レーザと超薄型ハイコントラストグレーティング(HCG)ミラーとの結合により、研究者たちは光の物理的力を利用してミラーを動かすことができる。HCGミラーは、Chang-Hasnainラボで開発された微小な突起列で構成されており、最近では人工のカメレオンのような皮膚を作製するために用いられた。平均力わずか数ナノニュートン、蟻の1/1000程度で光は、ミラーを振動させるために十分なエネルギーを出す。
 Yang氏によると、光はブランコの子供のように動作し、ミラーはブランコそのものである。「子供がスイング軌道に沿って適切に身体を動かすと、外的力なしでフリーライドを楽しむことができる。これが、自己掃引レーザで起こっていることである」。
 実験では、レーザとミラーとの光学機械的相互作用が、外的制御なしで赤外スペクトルの23nm以上の波長範囲で掃引できることを確認した。
 「その波長範囲は、ターゲットが数十メートル離れていても、50µmの表面形状特徴の解像度を持つ」と論文の共著者、研究グループのAdair Gerkeはコメントしている。
 さらに、掃引サイクルの周期は短い数100ns程度であり、1秒に数ミリの掃引ができる。この高い掃引レートにより、リアルタイム映像や深さ変化の視覚化のために3D画像を撮ることができる。
 研究グループは、今度はこの新しいレーザデザインを現在のLIDAR、OCTシステムに組込み、3Dビデオイメージングでアプリケーションのデモを行う。