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バークリーラボ、有望半導体にCampanile プローブを使用

August, 26, 2015, Berkeley--米国エネルギー省(DOE)ローレンスバークリー国立研究所(Berkeley Lab)の研究チームは、独自のナノオプティカルプローブを使い、分子レベルで2D半導体への照射効果を調べた。
 研究チームは、同チームが開発したCampanileプローブを使って、遷移金属ジカルコゲナイド(TMDC) 二硫化モリブデンについて予想外の発見をしようとした。TMDCのオプトエレクトロニクス特性は、将来のナノエレクトロニクスやフォトニックデバイスで有望視されている。
 バークリーラボの材料科学部門研究スタッフ、James Schuck氏は、「Campanileプローブの非常に優れた分解能によりわれわれは、二硫化モリブデン単層結晶内部のナノスケールオプトエレクトロニック異質性、予想外の約300nm幅でエネルギー的に乱れたエッジ領域を特定できた」と話している。研究チームが開発したCampanileプローブは、スキャン/プローブ顕微鏡と光学分光計の利点を統合したもので、2013年にR&D 100アワードを受賞している。
 2D-TMDCは、次世代高速エレクトロニクスでシリコンの潜在的後継者としてグラフェンのライバル。わずか1分子厚の2D-TMDC材料は、優れたエネルギー効率、シリコンよりも遙かに高電流密度伝送が可能である。しかし、2010年に実験的に「発見」されてから、2D-TMDC材料は理論的予想でかなり後れをとっている。その理由はまず、ナノスケールでの2D-TMDCの特性、特に励起子特性の理解欠如である。励起子は、デバイスで半導体を機能させる励起電子とホールの結合対。
 Schuckによると、ナノスケールでの2D-TMDC励起子特性や他の特性の理解が進んでいない理由はナノ分光イメージング制約によるところが大きい。「われわれのCampanileプローブで、近視野顕微鏡のこれまでの制約のほぼ全てを克服し、本来の長さで重要な化学的、光学的特性とプロセスを位置づけることができる」。
 Campanileプローブは、光ファイバ端に搭載された4面の微視的先端を持つ。プローブの2つの側面は金で被覆されており、2つの金レイヤは先端でわずか数ナノ離れている。テーパーデザインにより、プローブは全ての波長の光をチップ先端の強化領域に通すことができる。金レイヤ間のギャップサイズが分解能を規定しており、分解能は回折限界以下である。
 新たな研究では、研究チームはCampanileプローブを使って、CVDで成長させた二硫化モリブデン単結晶におけるナノスケールの励起状態/緩和プロセスを分光学的にマッピングした。二硫化モリブデンは2D半導体であり、グラフェンに匹敵する高い電気伝導度が特長であるが、グラフェンとは異なり、それは自然のエネルギーバンドギャップがあり、その伝導性はOFFにすることができる。
 Schuck氏は、「われわれの研究で重要なナノスケールオプトエレクトロニック異質性が明らかになり、われわれは結晶粒界で励起子-クエンチング現象を定量化することができた」と語っている。「乱れたエッジ領域の発見はパラダイムシフトである。つまり、1D金属エッジ状態だけが、2D-TMDCで観察される全てのエッジ関連の物理学と光化学に関与するという考えからのパラダイムシフトである。乱れたメゾスコピック領域があり、これがCVD成長の2D-TMDCのエッジ付近のほとんどのトランスポート、非線形光学、光触媒挙動を支配しているようだ」。
 研究では、二硫化モリブデン結晶の乱れたエッジ領域が内部に硫黄欠乏を持っていることも発見した。これは、この2D-TMDCの将来的なオプトエレクトロニックアプリケーションを予想させるものである。
 「硫黄が少ないということは、そのエッジ領域に自由電子が多く存在するということであり、これは非発光再結合強化となりうる。強化された非発光再結合とは、硫黄欠乏付近にできた励起子の寿命が極めて短いことを意味する」。
 研究チームの次の計画は、2つの分離したタイプのTMDCが接続されるときに現れる可能性がある励起子的および電子的特性、そこで生ずるp-nジャンクションと量子井戸の研究である。