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UCF、世界初のフルカラー、フレキシブルディスプレイ開発

July, 1, 2015, Orlando-- セントラルフロリダ大(UCF)のナノサイエンス技術センタと光学・フォトニクス(CREOL)のDebashis Chanda教授の研究チームは、フルカラーで柔軟な薄膜反射ディスプレイを実現する技術を世界で初めて開発した。
 携帯電話などに用いられている従来のディスプレイは、光源、フィルタおよびガラス板を必要とする。しかしカメレオン、タコ、イカなどの動物は、光源不要の薄い、柔軟な、変色するディスプレイ、つまり皮膚をもって生まれてくる。
 「全ての人工ディスプレイ、LCD、LED、CRTは硬く、脆く、嵩張る。しかしタコは、複雑な体輪郭を覆う皮膚そのもので色を作ることができ、それは伸縮可能で柔軟である。これが動機付けだ。生物学からインスピレーションを得て、皮膚のようなディスプレイを実現できるだろう」とChanda氏は言う。
 Nature Communicationsに発表された論文によると、超薄ナノ構造面に電圧を印可することで色を変えることができる。この新しい方法は、光源を必要とせず、周囲の環境光を反射する。
 微小な鶏卵箱形状の金属ナノ構造の上に薄い液晶層がサンドイッチ状になっており、金属ナノ構造は一部の光波長を吸収し、その他は反射する。反射される色は、液晶層に印可される電圧でコントロールできる。液晶分子とナノ構造金属面のプラズモン波の相互作用が、偏光無依存、フルカラー可変ディスプレイ実現で重要な役割を担う。
 研究チームによると、この方法は画期的であり、限定的なカラーパレットしか生成できなかった以前の研究を飛び越した。またディスプレイはわずか数µm厚。そのような超薄型ディスプレイは、プラスチックや合成繊維などの柔軟材料に適用できる。
 この研究は、TV、コンピュータ、モバイル機器などの現在のエレクトロニクスで大きな意味を持つ。こうした機器は、現在の基準では薄いと考えられているディスプレイを持っているが、今回の研究成果と比較すれば非常に分厚い。とは言え、これまで考えたこともないような全く新しいカテゴリのディスプレイの方に、潜在的にもっと大きな影響が考えられる。
 Chanda氏は、「偽装、洋服、ファッションアイテム、その全てが変わる」と言う。「色や模様を変えることができるなら、クローゼットに50枚のシャツが必要だろうか」。
 研究チームは、大面積に反射ナノ構造面を生成できる、簡素で安価なナノインプリンティング技術を利用した。
 「これはフルカラーのフレキシブル基板にディスプレイを作製する安価な方法である」とCahanda氏は言う。