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ビッグデータ解析と計算流体力学に革命を起こす光処理技術

April, 30, 2015, Cambridge--ケンブリッジUKの光処理会社、Optalysysは、スケーラブル、レンズレスデザインで数学関数を光で処理できる実証可能なプロトタイプの開発に成功したと発表した。
 Optalysysの光処理システムは、著しく高速、省エネで、プロセッサ負荷の大きな処理を実行することによって既存のコンピュータを「ターボチャージ」する。プロトタイプは可搬であり、設置面積はデスクトップコンピュータと同等。この技術は2020年までにエクサスケール(Exascale)の処理レベルに達する可能性がある。
 OptalysysのCEO、Dr. Nick Newは、「これまで、有意の光処理技術は多くの理由で実用的ではなかった。液晶技術の進歩により、数値データを光システムに高速かつ高分解能で動的に入れられるようになった。Optalysysのチームによるブレイクスルーにより、数µm内のアライメントが簡単にできる、特許のレンズレスデザインが実現されている」とコメントしている。
 このプロトタイプは、光学的に導関数を実証している。導関数は、気象予報や空力モデリングなど、複雑なエンジニアリングモデルシミュレーションで一般に用いられる数学的基本構成要素。また、DNA解析や財務モデリングなどのビッグデータ解析で用いられる相関パタンマッチングも行う。
 プロトタイプは、処理媒体に電気ではなく光を使用するので、320Gigaflop/s相当の処理速度を達成している。現在、このアプローチの原理は実証されており、Optalysysはこの技術の処理能力を高めようとしている。
 Optalysys技術を利用する最初のプロジェクト、The Genome Analysis Centre(TGAC)と共同でGenetic Search System(GENESYS)が来月スタートする。同システムは、大規模DNA配列検索を行う。このシステムでは、年間のエネルギー消費は95%以上削減できる。
 Optalysys会長、James Duez氏によると、同社の最初の製品は2017年発売となる予定。同製品により既存のコンピュータはHPCレベルのパフォーマンス、9petaflop/sになる見込み。これは今日の5番目に高速のコンピュータに匹敵する。「これに続いて、当社は2020年までにマルチexaFLPsを達成できる大規模システムの設計を計画している」と同氏はコメントしている。