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Caltechの新カメラチップ、超高精細3D解像度

April, 10, 2015, Pasadena--Caltechで開発された新しい微小な高解像度3Dイメージャによって、スマートフォンで撮った画像を3Dプリンタに送ると元の物体のミクロンレベルの精度で複製を造れるようになる。
 安価でコンパクトではあるが、高精度の新しいデバイス、ナノフォトニックコヒレントイメージャ(NCI)は、従来の常識を覆す見込みがある。サイズ1㎜2以下の安価なシリコンチップを使い、NCIはナノフォトニック3Dイメージング機器と比べて最高精度の深度計測を可能にする。
 標準的なカメラでは、個々のピクセルが画像の特定のポイントから受けた光の強度を表す、つまり、ピクセルは、カメラから対象までの相対距離について何の情報も提供しない。対照的に、CaltechのチームがのNCIで撮った画像では個々のピクセルが距離と強度の両方の情報を提供する。「チップ上の個々のピクセルは独立した干渉計、つまり精度のよい計測を行うために光の波の干渉を利用する。これによって、強度に加えて信号の位相と周波数を検出する」と電気工学教授、Ali Hajimiri氏は説明している。
 この新しいチップは、LIDARという確立された検出と測距技術を利用する。ここでは、目標とする対象がスキャニングレーザビームで照射される。対象から反射して戻ってくる光は、使用しているレーザ光の波長に基づいて解析される。LIDARは、対象のサイズとレーザからの距離についての情報を収集し、その周囲の画像を作り出す。「われわれのコヒレントイメージャは、たくさんの微小LIDARsを置くことによって、イメージャ内の機械的な動作なしで対象物やシーンの様々な部分を同時に撮像できる」と同氏は言う。
 NCIが提供するそのような高解像度の画像と情報は、コヒレンスという光学概念で可能になる。2つの光の波が同じ周波数であれば、光の波の山と谷は相互に正確に整列する。NCIでは、対象はこのコヒレント光で照射される。次に対象からの戻り光を、ピクセルの役割を果たすグレーティングカプラというオンチップディテクタで拾い上げる。個々のカプラから検出された光は3D画像の1ピクセルを表す。NCIチップ上で、対象物の様々な点からの反射光の位相、周波数、強度が検出され、目標点の正確な距離を判定するために使用される。
 コヒレント光は不変の周波数と波長であるので、戻り光の差を計測する参照に利用できる。このようにして、NCIはコヒレント光をある種の非常に正確な尺度として使用し、対象のサイズ、対象の各点のカメラからの距離を計測する。光は次に電気信号に変換される。電気信号は、3D画像生成に必要な情報の全て、個々のピクセルにとっての強度と距離の情報を持っている。
 コヒレント光の組込みは、シリコンフォトニクスでこれまでに達成された中で最高レベルの深度計測で3Dイメージングが可能となっただけではなく、デバイスを非常に小さなサイズに入れることができるようにもなった。「シリコンチップの小さなパイプに反射光を結合、閉じ込め、処理することで、各LIDAR素子を数百µmサイズに縮小することができた。これは300×300µmのアクティブエリアにこれらコヒレントディテクタの16アレイを形成できるサイズである」とHamimiri氏言う。
 NCI最初の概念実証はわずか16コヒレントピクセルで、これによって生成される3D画像はどんな場合でも16ピクセルに過ぎない。しかし、研究チームはまず4×4ピクセルセクションを撮像することでもっと大きな対象を撮像する方法も開発した。この方法によりチームは、デバイスを用いてスキャンし1m離れてUSペニー(1セント銅貨)表面の「丘と谷」の3D画像を生成した。解像度はミクロンレベルである。
 Hajimiri氏によると、将来的には現在の16ピクセルアレイは数十万まで簡単に拡張できる。