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ナノ光学チップ内でツナミを起こし制御

March, 13, 2015, Thuwal--高エネルギー現象の背後にある自然のメカニズムを明らかにするために、キングアブドゥッラー科学技術大学(KAUST)コンピュータ、電気、数学科学、工学部准教授、Andrea Fratalocchi氏は、サウジアラビアとヨーロッパの3大学および研究センタの研究チームのリーダーとして、多様な技術応用を開く新しい光学チップ内で破壊的な出来事の動力学とその形成を理解しようとしている。
 研究チームは、凶暴な波のような、エネルギーに満ちた自然の珍しい出来事を説明するための理論的概念を開発することから研究を始めた。凶暴な波とは、例えば深海で自然に発展し、船舶や外洋の石油プラットフォームに危険を及ぼす巨大な表面波。
 Fratalocchi氏は、「波が相互作用するカオス的な海の小さな揺動が、直観に反して、並外れて大きな珍しい出来事の形成をコントロールできることを実証したい」と話している。
 平面フォトニクス結晶チップはセントアンドルーズ大学(University of St.Andrews)で作製され、アムステルダムサイエンスパークのFOMインスティテュートAMOLFでテストされた。このチップを使って超高速(163fs長)、サブ波長(203nm幅)ナノスケールの凶暴な波を起こし、Fratalocchiの理論が正しいことを証明した。新開発のフォトニックチップは、これらの稀なイベントに対して並外れた制御性を示した。
 この実験とその分析に関わったヨーク大学フォトニクスグループ長、Thomas F. Kraussは、「一面の相互作用する波をフォトニックチップで実現することで、制御された環境で珍しい高エネルギーイベントの形成を研究することができた。こうしたイベントは、一連の波のあるものが欠落する時にのみ起こることに気づいた。これはわれわれの研究への重要な洞察の1つである」とコメントしている。
 FOMインスティテュートAMOLFナノフォトニクス長、Kobus Kuipers氏は、この凶暴な波の実験的可視化に関与した。「われわれは、ナノスケールで光学的振る舞いを可視化する顕微鏡を開発した。通常の波の振る舞いと異なり、凶暴な波が、どこからともなく突然現れ、次に再び消える、前からそこになかったこのように消える」。
 セントアンドルーズ大学の合成オプティクスグループリーダー、Andrea Di Falco氏は、「光学チップに閉じ込められた光を使うことの利点は、カオス系のエネルギーがどのように消散し、この珍しい極端なイベントが起こるかを極めて注意深くコントロールできることだ。海岸を正確にかたちづくり、排出口のサイズや数を正確に制御することで、小さな湖に所定量の異常な高さの波を起こしているかのようである」とコメントしている。
 このプロジェクトの成果は、エネルギー研究、高速通信、災害準備に最先端の技術応用を提供する。