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Science/Research 詳細

三菱電機、小型および大型「風計測ライダ」を開発

February, 26, 2015, 東京--三菱電機は、レーザー光を利用して見えない風の状況をリアルタイムにセンシングできる小型および大型の「風計測ライダ」を開発した。
 高さや距離ごとの風を立体的に捉えて変化を可視化することで、風の影響が大きい風力発電や航空安全など様々な分野に貢献する。

開発技術の特長
1.レーザー光により、広域での風速や風向きを測定
 従来、例えば風力発電所を設置する場合には事前に風況観測マストを建設し、それに取り付けたカップ式風速計による風況調査を行っていたが、一地点の風のみの計測に留まり、さらに風車の大型化に伴い建設費用が増加するという課題があった。レーザー光を用いて大気中の塵や微粒子の動きを捉えることで、リアルタイムで広域の風速や風向きを測定できる風計測ライダを開発した。機種は、風力発電など近距離計測向けの小型タイプと、空港や気象観測など遠距離計測向けの大型タイプの2機種。

2.「小型ライダ」高速走査方式と機器制御により、高精度な風計測を実現
 レーザー光の走査に高速スイッチ方式を採用することで急な風速変化にも対応可能となり、高い計測精度を確保した。同時に、大気条件の変化を自動で認識して計測時間などの機器設定を適切に制御することで、風速誤差1%以下、有効計測率90%。
以上を実現した。計測率は、オランダエネルギー研究センター(ECN)で第三者評価試験を実施し、風計測の基準であるカップ式風速計との比較で誤差1%以下の性能承認を取得している。小型・可搬化により設置場所の選択肢を広げたことで、近距離の風計測に貢献する。

3.「大型ライダ」高出力光アンプにより、安定的な遠方の風計測を実現
 独自開発の高出力光アンプを搭載。高出力光アンプは、独自の平面導波路構造により目に安全な光増幅を実現するアイセーフレーザー増幅器を採用し、さらに高精度での風計測に必要なコヒーレント光の増幅で、世界最高となるピークパワー5.5kwを達成した。これにより、最大で世界最長となる34km遠方の風計測を実現し、半径10kmの範囲では安定した長距離計測を可能とした。
(詳細は、www.mitsubishielectric.co.jp)