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ミシガン大学、複雑な結晶をシミュレーション

December, 26, 2014, Ann Arbor--ミシガン大学の研究チームは、コンピュータシミュレーションで、これまでで最も複雑な結晶構造を作製した。「複雑さが単純なルールからどのように出現するかを実証するのに、研究の成果が役立った」と研究チームは説明している。
 研究チームの「20面体準結晶」は、目には整然としているように見えるが、反復パタンは全く存在しない。同時に、それは回転させると対称的であり、5重、6重パッチのサッカーボールのようである。
 正20面体対称と言うこの特徴は、1点を囲む小さなスケールでよく見られる。ウイルスの殻、C60構造分子、つまり60の炭素原子の分子。しかし、通常の結晶ではあり得ない。
 正20面体準結晶は、金属合金では普通に見られるが、他の材料を使って効率よく造る方法が今でも研究されている。回転した時の高い対称性のために、正20面体準結晶は「フォトニックバンドギャップ」という特性を持つことができる。フォトニックバンドギャップは、粒子間の間隔が光の間隔と同じ時に起こる。このように配列された粒子は、あらゆる方向から来る光をトラップして決まったルートに送り出す。
 化学工学教授、Sharon Glotzer氏は、「正20面体準結晶がナノサイズ、ミクロンサイズの粒子でできていると、通信やディスプレイ技術を含む様々なアプリケーションに使える、カムフラージュにも有用である」とコメントしている。
 これらのアプリケーションは興味をそそるものであるが、思索の域を出ない。研究チームによると、成果の中で最も素晴らしい面は、どのように正20面体準結晶が形成されるかが見通せることである。
 シミュレーションによって研究者は初めて、正20面体対称がどのように発展するかを観察することができる。
 ミシガン大のシミュレーションは、1つのタイプの独自の粒子だけを使って行われた。一般には、準結晶構造を実現するには、2つもしくは3つの原子を必要とする。
 最終成果が長範囲規則性を示していたとしても、最大3粒子間隔でしか粒子は相互作用しない。観察の結果、これらの相互作用は黄金比で支配されていることが分かった。黄金比、つまり1.61は数学的、芸術的に重要な数字で、古代ギリシャで最初に研究された。これはフィボナッチの数列に関係している。この数列は、0と1から初めて、次の数字が先行する2つの数の和となるように展開する。つまり、0,1,1,2,3,5,8,13…..。これは花弁、松かさの種、木の枝、オーム貝のスパイラルの配列などに見られる。
 「この成果は、自然において重要な基本的問題への解に役立つ」とGlotzer氏はコメントしている。
(詳細は、www.umich.edu)