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NASA、宇宙ステーションのダウンリンクテストに成功

December, 17, 2014, Pasadena--国際宇宙ステーションのOPALS(Optical Payload for Lasercomm Science)は、地球と宇宙との間で、電波信号と比較してレーザ通信が情報の流れをいかに高速化できるかの実証実験を行っている。
 レーザ通信は地球にもメリットがある。宇宙からの高速のダウンリンクとは、地球を周回する人工衛星とNASAの火星ローバを含む遠い宇宙の宇宙船から、より高精細な画像が得られることを意味する。
 OPALSは、4ヶ月の主要ミッションを完了。次のフェーズのミッションでは、適応型オプティクスによって光通信リンクの効率がどの程度向上するかを見る。OPALSから学んだ教訓は、今後の光リンクをより堅牢に、高信頼にするために役立てる。
 OPALSは4月にSpaceX Dragon貨物カプセルに載せて宇宙ステーションに打ち上げられた。レーザが地上ビーコンを自動追跡すると、ペイロードは光通信リンクを確立することができた。ビーコンは、WrightwoodにあるJPL Table Mountain天文台の光通信望遠ラボラトリ地上ステーションから発射されている。この技術は、大気乱流の影響を平均化するように4個のレーザを持つビーコンを使用している。
 「地上局からの4個のレーザが宇宙ステーション目がけて放射される。晴れた、暗い背景条件ではペイロードが地上のビーコンを捉えるのは極めて容易だ。昼光条件の方が難しいことが証明されているが、ソフトウエアの強化により、日中でも同じように能力が向上するように努めている」とOPALSミッションマネージャ、Matthew Abrahamson氏は話している。
 OPALSは、Table Mountainから18のパスに成功。日中と夜間それぞれ9だった。ペイロードは、驚くほど高精度に地上のレシーバを追跡することができた。
 同氏は「時々、天候が問題になった、雲がレーザの邪魔をしたからだ。ペイロードは、雲の切れ目から信号を再捕捉する能力を示した」とコメントしている。
 OPALSが初めて成功したのは6月5日、ナイトパスは148秒続いた。3.5秒ごとに同じビデオのコピー(Hello, World!)を送信。これまでのダインリンク法では、175メガのビデオの送信は10分かかる。
 OPALSはダウンリンクテストも行った。”Alice’s Adventures in Wonderland”がペイロードから地上へ何度も伝送された。
 OPALSチームは、200~300メガバイトのエンジニアリングデータをダウンリンクした。標準的な方法では、このデータを送るのに約3時間かかる。しかしOPALSでは、わずか20秒しかかからなかった。データはエンコーディングなしで完全に再構築され、光リンクの低いBERが際立った。