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「スーパーレーザ」で宇宙のデータ通信に革命を

December, 5, 2014, St. Louis--欧州の宇宙通信衛星Alphasat I-XLと地球観測衛星Sentinel 1Aは、新しいレーザ技術を使ってデータの交換を行い、画像を地球に伝送した。
 Alphasat I-XLは、2013年7月から高度36000kmの静止軌道にある通信衛星、Sentinel 1Aは2014年4月から高度約700kmのほぼ地球の極軌道にある地球観測衛星。
 今回のデータリンクに使用された技術はドイツ製。レーザ通信端極(LCT)は、ドイツ連邦経済エネルギー省の資金を得てドイツ航空宇宙センタ(DLR)宇宙管理局指揮下でTesat-Spacecom GmbHが開発した。
 将来的には、LCT技術は膨大な量のデータを一日中、リアルタイム伝送するために使用される。目的は、大量のデータを衛星に重複蓄積してユーザがデータに高速アクセスできるようにすること。「これは、例えば、中でも欧州コペルニクスプログラム(European Copernicus Programme)で、多数の環境モニタリングおよびセキュリティモニタリングシステムに関連している」とDLRのプロジェクトマネージャ、Rolf Meyer氏は説明している。
 EDRS(欧州データ通信システム)は、レーザ通信技術も使用する欧州宇宙機関(ESA)の計画。プロトタイプはAlphasat I-XLにインストールされている。ESA地球観測衛星Sentinel 1は、「パートナーステーション」の役割を果たす。AlphasatとSentinel 1A搭載のLCTsは、最大1.8Gbpsのデータを45000km伝送することができる。Meyer氏によると、「これは、1時間あたり約180枚のDVDsに相当する」。「2001年に設定された最初のレーザリンクと比べると、LCT技術はデータレートが30倍になっている。とは言え、このシステムは重量が約1/3、望遠鏡はハーフサイズになっている」とプロジェクトマネージャは説明している。Alphasat I-XLは、静止軌道にとどまり、DLRのオバーパッフェンホーフェン(Oberpfaffenhofen)の施設の地上局に絶え間なくデータを送ることができる。
 オーバーパッフェンホーフェンのDLRドイツリモートセンシングデータセンタにある地上局は、静止通信衛星の拠点として機能する。衛星間通信はLCT技術をベースにしているが、Alphasat I-XLはマイクロ波リンクでデータを地上局に送る。「これも新技術の利用を取り込んでいる。この目的で搭載したアンテナは、26GHz、Kaバンドで動作するが、この通信形態では通常よりも遙かに高い周波数だ」とDLR Alphasat地上局責任者、Erhard Diedrich氏はコメントしている。地球の大気はマイクロ波をほとんど乱さないことは重要である、したがって天候に関わらずトラブルのない受信が可能になっている。
(詳細は、www.dir.de)