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カンザス大学、グラフェンと2D二硫化タングステンを結合

December, 3, 2014, Lawrence--カンザス大学物理学研究チームは、レゴブロック(Legos)のように結合する2つの異なるアトミックシートでできた全く新しい物質を作製した。研究チームによると、この新しい材料は、グラフェンと二硫化タングステン(WS2)の層でできており、太陽電池やフレキシブルエレクトロニクスで使用できる。
 物理学と天文学の准教授、Hsin-Ying Chiu氏と院生、Matt Bellus氏は、「レイヤー毎に組み立てる」方法で新しい材料を作製した。さらに、Jiaqi He氏とNardeep Kumar氏が、超高速レーザ分光計で2つのレイヤー間の電子の動きを調べた。
 Chiu氏によると、ほとんどの材料は界面での原子配列の違いにより結合しない。この問題は、層状の材料を開発することで解決した。新しい材料は、各アトミックシートがその隣と強く結合した原子でできた2つの層が特徴になっている。しかし2つのアトミックシートはファンデルワールス力(分子間力)で弱い結合に過ぎない。
 「層状結晶には約100のタイプがあり、グラフェンはよく知られた例。レイヤー間の結合が弱いため、任意の2つのアトミックシートを選択し、何の問題もなくそれを重ねることができる」とBellus氏は説明している。
 Chiu氏とBellus氏は、効率的な太陽電池用の新しい材料を開発することを目的に、炭素と二硫化タングステン材料を作製した。グラフェンとして知られている炭素原子の単層は電子が動き回る点で優れており、一方、単層二硫化タングステン原子は太陽光を吸収し、それを電気に変換する点で優れている。これら2つを組み合わせることで、この画期的な材料は両方の仕事で優れたパフォーマンスを実現する可能性がある。
 研究チームは、スコッチテープを使って結晶から二硫化タングステン原子の単層を取り出し、それをシリコン基板に貼りつけた。次に、同じ方法でグラファイト結晶から炭素原子の単層を剥がし、顕微鏡を使って、グラファイトを二硫化タングステン層の上に正確に置いた。2つの原子層の間に、故意にではないが残っている接着剤を除去するために材料は華氏約500°で30分加熱。これにより2つの層の間から接着剤がなくなり、きれいな界面の2つの薄い原子層のサンプルが残る。
 研究チームは、レーザパルスを使って二硫化タングステン層を励起した。
 「レーザパルスからのエネルギーを吸収した電子のほぼ100%が二硫化タングステンからグラフェンに、1ps以内で移動することを確認した。これは、新しい材料が各成分層の優れた特性を結合したものであること実証している」とZhao氏は説明している。
 研究チームは、このアプローチを他の材料にも適用することを考えている。