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NASA、SpaceXをサーマルイメージングで撮る

November, 13, 2014, Hampton--NASAは、SpaceX Falcon9ロケット下降時の熱画像を捉えることに成功した。ロケットはフロリダ、ケープカナベラ空軍基地から9月に打ち上げられた。この熱画像のデータは、今後の火星表面へのミッションに重要な技術情報を提供するものとなる可能性がある。
 「大きなペイロードを火星に着陸させるのに必要な技術は地球に着陸させる場合の技術と大きく違うので、こうした技術への投資は不可欠である」とNASAの推進降下技術(PDT)プロジェクト主席研究者、ジョージア工科大学教授、Robert Braun氏はコメントしている。「これは、火星関連の条件で超音速飛行しながら、進む方向に発射するロケットシステムの初の高忠実データである。他に存在しないこのデータを解析することによって、システムエンジニアは重要な知見を抽出することができる」。
 NASAは、ロケット第一段の再突入を記録するために航空機二機に最先端の計測器を取り付けた。第一段はロケットの一部で、発射時に点火して推進燃料がなくなるまで燃えてロケットを押し上げる。燃料が無くなった時点で、第一段は第二段から切り離されて地球に戻る。降下する間、NASAは高品質の赤外HD画像を撮り、エンジンのON/OFFにともなう煙の変化をモニタした。
 「火星への突入、降下、着陸能力実現に対するNASAの関心と、再利用可能な宇宙交通に対するSpaceXの関心と実験運用によって、このようなデータをローコストで取得することが可能になった。自前で専用の飛行プロジェクトを立ち上げる必要がなかった」とNASAのPDTプロジェクトマネージャ、Charles Campbell氏は話している。
 NASA WB-57、ツインエンジン高空研究航空機は、画像を捉えるための長距離赤外光システムを搭載している。これは、他に例のないフルモーションビデオカメラシステムで、WB-57の先端にジンバル取付されており、フルカラーHD、赤外ビデオを収集する。
 Navy NP-3D航空機は、長距離赤外光システムを実装しており、発射の熱画像も撮った。
 発射当日、WB-57とNP-3D Orionはロケット軌跡から約50マイル離れた観測位置に到達。発射後、ロケットは航空機の赤外カメラが捉えられるに十分な熱エネルギーを発した。両方の航空機搭乗員は、第一段が超音速でジョージアの海岸に落下する際のデータを取得した。
 「SpaceXとの提携を通じて、最先端のロケット段設計と後方推進力について、実世界のデータにアクセスできるようになっている。この提携により、われわれは数100万ドルの節約ができる。この提携がなかったら、組織内でのロケットの開発と飛行テストで数100万ドルを使っていただろう」とNASA宇宙技術の副長官、Michael Gazarik氏はコメントしている。
(詳細は、www.nasa.gov)