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ガラスファイバで2つのフォトンが強く結合

November, 10, 2014, Vienna--ウィーン工科大学(TU Wien)で、超薄ガラスファイバを使って2つのフォトンを強く結合させた。この方法は、量子技術にとって新しい重要ツールになる。
 2つのフォトンは自由空間では相互作用しない。光の波は、相互に影響することなく互いを透過する。量子技術の多くのアプリケーションでは、フォトンの相互作用が極めて重要になる。タップできない量子チャネルを通した情報伝送や光ロジックゲートの構築にとっては不可欠である。TU Wienの研究チームは、2つのシングルフォトン間の強い相互作用確立に成功した。これは、量子オプティクスに全く新しい可能性を開くものである、と研究者たちは説明している。
 Arno Rauschenbeutel教授によると、光と光を相互作用させるには通常はいわゆる非線形媒体を使用する。光がこれらの材料の特性に影響を与え、次に材料が光に影響を与える。これによってフォトンの間接的結合が得られる。ただし、この方法は、無数のフォトンが含まれる強い光強度でしか使えない。この相互作用は非常に強いのでフォトンの位相が180°変わる。「それは振り子のようなもので、実際に左に触れるが、第2の振り子との結合により、右に触れる。振り子の振動に、これより極端な変化はあり得ない。われわれは、可能な最小の光強度で、可能な最強の相互作用を達成する」とRauschenbeutel氏はコメントしている。
 これが可能になるには、フォトンの動きが異常でなければならない。超薄型ガラスファイバを微小なビンのような光共振器に結合し、光が共振器に入って周回してガラスファイバに戻るようにしなければならない。共振器を通したこの動きがフォトンの位相を反転させる、つまり波の谷があるべき所に波高点が現れる。
 しかしシングルルビジウム原子が共振器と結合されているとき、系は劇的に変わる。その原子の存在により、光はもはや共振器に入らず、フォトンの振動位相は変わらないままとなる。
 2つのフォトンが同時に到着すると事態は変わる。「原子は吸収体であり、飽和する。1つのフォトンがしばらくの間、原子に吸収され、次に再び共振器に放出される。その間、原子は他のフォトンを吸収することはできない。2つのフォトンが同時に到着すると、1つだけが吸収され、他方はまだ位相シフトする」とRauschenbeutel氏は説明している。量子力学的見方では、2つのフォトンは区別がつかない。それらは結合した波のようなものとして考えなければならない。それは共振器の中にもガラスファイバの中にも同時に見いだされる。したがって、どのフォトンが吸収され、どれが通過したかを言うことはできない。両方が同時に共振器をヒットしたとき、それらはともに180°の位相シフトを経験する。したがって、相互作用する2つの同時存在フォトンは、単独フォトンとは全く異なる振る舞いを示す。
 「このようにして、最大限エンタングルしたフォトン状態を作ることができる。そのような状態は、全ての量子オプティクスで必要になる。つまり、量子テレポーテーション、あるいは将来量子コンピューティング使用される可能性がある光トランジスタにも必要になる。
 この新しいシステムの大きな利点は、それがガラスファイバ技術をベースにしていることである。これはすでに光通信で利用されている。ナノガラスファイバとボトル共振器は既存技術と完全適合的である。強い確定的フォトン-フォトン相互作用の実現は、データを盗聴されない、世界的量子情報ネットワークへの重要な一歩となる。