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スーパーソニックレーザ推進ロケット

November, 5, 2014, Washington--ロシアのオプトエレクトロニック計測技術研究所のYuri Rezunkov氏とセントペテルスブルクの物理・技術研究所のAlexander Schmidt氏は、レーザ推進システムによって生まれる新しい推力改善法を発表した。
 現在、宇宙船の最大速度は搭載された固体燃料または液体燃料の量によって制限されている。高速化を達成するには、より多くの燃料を燃やさなければならない。しかし、実際に搭載することなく、遠隔に置いたレーザを用いて付加的な推進力を与えることで、この重荷になる積載は減らせる。
 そのようなレーザ推進力を生み出すことができる多くのシステムが、これまでに提案されてきた。最も有望なものの1つはレーザアブレーションプロセス。この場合、レーザビームが表面に当たって加熱し、材料を燃やしてプラズマプルーム、つまり表面から流れ出す荷電粒子の柱を発生させる。そのプラズマプルームの流出とは、本質的には排出であるが、これが追加の推進力となって宇宙船を前進させる。
 Applied Opticsに発表された論文によると、両氏は宇宙船のガス噴出ノズルとレーザアブレーション推進力システムとを統合する新たなシステムについて報告している。2つのシステムを統合することで、燃料の量を減らしながら、同システムのガス流出速度を高めてスーパーソニック速度にすることができる、と両氏は説明している。
 両氏によると、現状のレーザ推進技術には限界がある。ガスノズルを通る時にスーパーソニックガスが不安定になり、ノズルの吸気口を詰まらせる衝撃波が生まれることで推進力が低下するからである。しかし、これらの効果は、レーザアブレーションプラズマプルームの助けを借りて抑制できる。つまり、プラズマプルームがノズルの内壁に密着して流れるように向きを変えることによって可能になる。アブレーションジェットとノズルを通スーパーソニックガスフローを統合することで、ノズルが生み出す推進力全体が大幅に改善されることが分かった、と両氏は説明している。