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量子コンピュータ実用化を早める 新たな量子計算アーキテクチャ確立

March, 29, 2023, 大阪--大阪大学量子情報・量子生命研究センターと富士通株式会社は、量子コンピュータの実現に不可欠な量子エラー訂正に必要な物理量子ビット数を大幅に低減することで、現行コンピュータの計算性能を超える量子コンピュータの実用化を早めることが可能な高効率位相回転ゲート式量子計算アーキテクチャを確立した。

従来の誤り耐性量子計算(FTQC)アーキテクチャでは、量子エラー訂正に大量の物理量子ビットが必要になるため、100万以上の物理量子ビットを有する量子コンピュータでなければ実用化が困難と言われており、物理量子ビット数が今後1万程度に到達した段階で量子エラー訂正を実行しても計算可能な規模は極めて小さく、現行のコンピュータの処理能力を超えることは不可能と考えられていた。

これまでのアーキテクチャでは、量子エラー訂正した4つの基本量子ゲートの組み合わせにより量子計算を実行しており、そのうち1つの基本量子ゲートには量子エラー訂正に大量の物理量子ビットが必要だったが、今回両者は、その基本論理ゲートを代替する手法を開発し、従来の1割の物理量子ビットで量子エラー発生を大幅に抑えられることを確認した。これにより、1万物理量子ビットがあれば、現行コンピュータにおける最高性能の約十万倍に相当する64論理量子ビットの量子コンピュータを構築することが可能となる。

両者は今後、この量子計算アーキテクチャを発展させてEarly-FTQC時代の量子コンピュータ開発を主導していくとともに、材料や金融領域などの実問題への早期適用を目指していく。
(詳細は、https://pr.fujitsu.com)