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Science/Research 詳細

ダイヤモンド状のフォトニック結晶にフォトン閉じ込め

October, 2, 2014, Twente--オランダのトゥエンテ大学(University of Twente)ナノテクノロジー研究所+MESAの研究グループは、フォトン閉じ込めに使える新しいタイプの共振器を設計した。
 キャビティは、フォトニック結晶内部の空間に3Dで光を閉じ込める。結晶は、原子がダイヤモンド状に配置されるのと同じ構造を持つ。フォトンを閉じ込めることで、アプリケーションは広がる、例えばオプティクス(効率的な微小レーザやLEDs)、通信技術(情報ビットのオンチップストレージ)、ライフサイエンス(微小で高感度の製薬材料センサ)。
 オプティクスでは、共振器は一定時間限られた空間に光をとどめておく機能として広く使用されている。一般的なキャビティは、長さのある透明材料で分離された2つのミラーで構成されている。光はミラー間を行き来する。光は電磁波であるので、キャビティ長と一致する波長の波だけがキャビティに存在できる。これは建設的干渉の結果であり、ここでは多くの波の山と谷が一致して強度が強まる。したがって、許容された波が共振してキャビティ内に定在波を形成する。
 光の往復部分全体でエネルギーが漏れるため、光がキャビティ内で無限に周回することはない。重要な漏出は、通常ミラーが光を全方向に反射しないことが原因。光が何度も行き来している内に、光はミラーに戻らずキャビティから外れる。もし3次元全てに同時に機能するミラーがあれば、そのように不要な逸脱は止められる。これが、正にオランダの研究チームが採用しているデザインである。
 新しいデザインは、3Dフォトニック結晶をベースにしており、これらの構造は、光の放出と伝搬を制御できることでよく知られている。これは周期的な形状となっており、一定の波長の光は結晶内に存在することが許されない。その光は、反射されるので、どの方向からも結晶内には入れない。半導体の特性とのアナロジーでは、この効果はいわゆる「フォトニックバンドギャップ」という。
 バンドギャップ結晶内では、点欠陥が導入されると、禁じられた光の色(波長)はわずかに存在することができる。そのような光キャビティはフォトニックバンドギャップ結晶に囲まれており、光に対して3Dミラーとして働くので、光は逃げることができない、つまり閉じ込められる。
 フォトニック結晶の作製は、簡単ではない。そのため研究チームは、簡素なデザインを考案した。2セットの垂直の細孔でできたダイヤモンド状の結晶を用いた。そのような結晶は記録的に広いバンドギャップを持ち、これがキャビティの強い遮蔽となる。個々のセットの1つの細孔は直径がさらに小さい。膨大な計算の結果、フォトン閉じ込めは、とどめられている光の波長の2.5倍。
 以前、研究チームはダイヤモンド状のフォトニックバンドギャップ結晶がシリコンにエッチングできることを示した。これは半導体チップ業界で一般に用いられている技術を利用した。この新しいキャビティデザインは、これらのフォトニック結晶の決まった製造工程中に適用できる。したがって、光を閉じ込めるチップは間もなく製造できる。これによって、既存の電子情報操作と超高速のフォトン操作との統合への展望が開ける。
(詳細は、www.utwente.nl)