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ミシガン大学、長寿命青色OLEDを開発

September, 29, 2014, Ann Arbor--スマートフォンの長寿命化、大型ディスプレイTVの低消費電力化のためにミシガン大学の研究チームは青色有機LED(OLED)の寿命を10倍に拡大した。
 青色OLEDは、スマートフォンスクリーンやハイエンドTVなどのOLEDディスプレイに使用される3色の1つ。今回の改良は、これらの機器の青色OLEDの効率が、約5%から20%に、将来的にはさらに向上することを示唆している。
 全てのOLEDが同じようにできているわけではない。リン光OLED、つまりPHOLEDは、蛍光OLEDよりも4倍の効率で発光する。緑と赤のペアOLEDはすでにこれらの新しいTVで使用されている、またサムスンやLGのスマートフォンでも使われているが、青色は蛍光である。
 「青色リン光ピクセル搭載は重要な課題であるが、寿命が十分でない」と工学のStephen Forrest教授は言う。同氏の研究グループは、1998年に最初のPHOLEDを、2001年には初の青色PHOLEDを実証した。
 現在、この新しい成果で研究グループは変化が起こることを期待している。効率的な青色は、大型TVsの消費電力を大幅に減らし、スマートフォンのバッテリ寿命を延ばす。
 寿命の改善は、時間の経過とともに青色が赤や緑よりも薄暗くなるのを阻止することに役立つ。
 2008年ユニバーサルディスプレイ社と協力してForest教授の研究グループは、PHOLEDの寿命が短い理由を解明した。明るさがディスプレイや照明に必要なレベルまで増大すると、青色光を生成するのに必要な高いエネルギーが引き起こす損傷が大きくなる。
 これは、1つの分子へのエネルギーの集中が隣接の分子と結びつくためであり、総エネルギーは分子の1つを破壊するほどに大きくなる。これは緑や赤色発光のPHOLEDではあまり問題とならない、なぜならこれらの色の発光のエネルギーレベルはもっと低いからである。
 この問題への解は、論文の筆頭著者、Yifan Zhang氏と研究グループの博士課程学生Jae Sang Lee氏が実証した。それによると、分子が破壊的な、悪い相乗効果を受けないように発光エネルギーを拡散させる。
 PHOLEDは、2つの導電層に挟まれた薄膜発光材料で構成されている。発光分子が均一に分布していれば、電子-ホールのエネルギーペアは伝導層付近に蓄積される傾向があり、エネルギー転移に障害をもたらす原因となる。研究チームは、分子がホール伝導層付近に集中し、電子伝導層に向かって希薄になるように調整した。これは、電子を材料内に引き込み、エネルギーを拡散させることである。
 このような新たな分布だけで、青色PHOLEDの寿命は3倍に延びた。次に研究チームは、この設計を2つの層に分け、発光分子の集中を層ごとに半分にした。この構成により寿命は10倍になった。