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ニューロンのタンパク質「交通マヒ」は神経変性に関連

November, 17, 2022, Lausanne--EPFLの研究者は、タンパク質複合体の機能不全が、どのように毒性タウ形態を構築につながるかを明らかにしている。タウは、アルツハイマー病や他の神経変性疾患に関わるタンパク質。

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患は、脳内にもつれを形成し、ニューロンを殺す非定型タンパク質に関連している。EPFL神経生物学者は、今回、これらのもつれの形成の根底にある一部のキーメカニズムを特定した。

研究チームは、ニューロンが相互に切断されるとき、神経変性の早い時期に細胞の脆弱性を見ることができた。その研究成果は、神経変性疾患の新しい治療開発に役立つ可能性がある。

「われわれが、最初期のニューロン切断を止める、あるいは減速できるなら、ニューロンが退化し始めるとともに起こる、それに続くステップを減速させられる」とEPFLのライフサイエンス学部、教授、研究のシニアオーサ、Brian McCabeは説明している。

McCabeのチームは、ショウジョウバエ成虫を操作してヒトのタウを発現するようにした。タウは、認知症につながるアルツハイマー病や他の疾患に関与している。

ヒトのタウを発現するハエは、制御群よりも短命であることを研究チームは確認した。脳に対するヒトのタウの影響を評価するためにチームは、個々のニューロンの正確なイメージングを可能にする一連の遺伝学、顕微鏡、コンピュータ技術を利用した。研究は、成熟した脳のコンテクストで、単一ニューロンレベルで神経変性を見るこの種のもので最初になる。

制御群と比較して、ヒトのタウを発現するハエは、シナプス、つまりニューロン間の接続の大幅な損失を示していた。これらの生き物では、ニューロンの軸索、電気インパルスを伝える細胞の長くて細い部分も縮んで、後退していた。

「軸索が後退する時までには、ニューロンは、もはや機能回路の一部ではなくなっていた。われわれは、これらの最初期段階で介入する必要がある。ニューロンが壊れ始めると、すでに闘いは負けである」(McCabe)。

さらなる実験によると、レトローマ(retromer)というタンパク質複合体、これはパーキンソン病の患者で変異するが、これが神経変性を加速する。細胞では、レトローマがリサイクリングシステムのように活動し、タンパク質を破壊から救い出し、細胞の表面へ戻す。レトローマ複合体の活動わ阻止すると、タウの短縮形のレベルが増加し、神経毒性を悪化させることを研究チームは、確認した。

McCabeと同氏のチームの仮定では、レトローマ活性が低減すると、タウタンパク質が細胞内に長く居座り、そこで特殊な酵素、カスパーゼによって「切り取られる」。実際、タウの短縮形の製造を抑制するとシナプスや軸索の損失が止まる。

Nature Comminucationsに発表された研究成果の示唆するところでは、レトローマ活性の抑制は、タウの交通を遅らせる。この「交通マヒ」により、ガスパーゼは、タウをニューロンに損傷を与える短い形態に切断する。タウの交通を強める薬剤の特定は、McCabeによると、神経毒性低減に役立つ可能性がある。

タウの短い形態が、アルツハイマー病やパーキンソン病の影響を受けた脳にとって診断マーーカーとなるなら、この非定型タンパク質のレベルを薬剤スクリーニングで薬効のプロキシーとして使える。

McCabeのチームは、神経変性の最初期の理解に向けて継続して取り組んでいる。病気を始動するキーメカニズムの解明に役立つアプローチである。
(詳細は、https://actu.epfl.ch