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Science/Research 詳細

NICTなど、標準外径光ファイバで55モード多重、1.53 Pbps伝送成功

October, 5, 2022, 東京--情報通信研究機構(NICT)ネットワーク研究所のラーデマッハ・ ゲオルグ・フレデリック主任研究員らのグループは、ベル研究所(Nokia Bell Labs、米国)、プリズミアン(Prysmian Group、フランス・オランダ)、クイーンズランド大学(The University of Queensland、オーストラリア)と共同で、標準外径(0.125 mm)55モード光ファイバにおいてモード多重技術を駆使し、世界で初めて、標準外径の光ファイバで毎秒1.53ペタビット(Pbps)大容量伝送実験に成功した。

今回の実験では、商用の波長帯域(C帯)を用いて55のモード多重に成功、周波数帯域当たりのビット数を飛躍的に増やし、標準外径光ファイバの伝送容量世界記録を更新した。先行しているマルチバンド波長多重技術との併用により、今後の更なる伝送容量の拡大も見込めることから、Beyond 5G後の情報通信インフラを見据えた技術開発に先鞭を付けた。

実験結果の論文は、第48回欧州光通信国際会議(ECOC 2022)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択され、現地時間2022年9月22日(木)に発表した。

今回の成果
プリズミアンのシングルコア・55モード光ファイバ、NICTのモード多重送受信技術、ベル研究所及びクイーンズランド大学の設計・製作による多重反射位相板方式のモード合波器/分波器を利用し、NICTが伝送システムを構築し、合計1.53Pbps光信号の25.9 km伝送に成功。今回、55のモード多重信号のMIMO処理を行うために、高速かつ並列度の高い信号受信システムを構築し、全モードの信号を一括で受信した。受信後にMIMO処理を行った結果、C波長帯の184波長において偏波多重16QAM信号のモード分離に成功した。過去の15モード多重伝送と比較すると、モード数の増加に伴い、周波数帯域当たりのビット数が3倍以上(332ビット/秒/Hz)に向上している。今回の実験ではC波長帯を用いたが、今後、波長帯域をマルチバンド化していくことで更なる伝送容量の拡大を見込める。
(詳細は、https://www.nict.go.jp)