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Caltech、新しい光スイッチ、超高速全光信号処理へ

August, 24, 2022, Pasadena--Caltechのエンジニアは、電子ではなく光コンポーネントを使うスイッチを開発した。スイッチは、コンピューティングの最も基本的なものの一つである。その開発は、超高速オールオプティカル信号処理とコンピューティングを達成する取組みに役立つ。

光デバイスは、電子信号ではなく光パルスを使うことで電子デバイスよりも遙かに高速に信号を伝送できる。それが、最新のデバイスが、オプティクスを使ってデータを送る理由である。例えば、従来のEthernetケーブルよりも著しくインターネットを高速にする光ファイバケーブルが考えられる。

オプティクスの領域は、高速、省エネに多くのことをすることでコンピューティングを変革する可能性がある。しかし、現在、オプティクスベースのシステムの大きな制約の一つは、効率的にデータ処理をするために、まだ電子ベースのトランジスタをある点で使う必要があることだ。

今回、Caltechの電子工学・応用物理学准教授Alireza Marandi主導のチームは、光非線形性を利用して、オールオプティカルスイッチを開発した。そのようなスイッチは、最終的には、フォトンを使ってデータ処理を可能にする。研究成果は、Nature Photonicsに発表された。

スイッチは、コンピュータの最もシンプルなコンポーネントの一つである。信号がスイッチに入り、ある条件に従い、スイッチは、その信号を前に進めるか、止めるかのいずれかを許可する。そのON/OFF特性は、論理ゲート、バイナリ計算の基礎であり、デジタルトランジスタは、それを達成するために設計されている。しかし、この新しい研究まで、光でその同じ機能を達成することは、難しいことが分かっていた。トランジスタの電子は、相互のフローに強く影響を与える、したがって「スイッチング」の原因となるが、それとは異なり、フォトンは、通常、相互作用は簡単ではない。

2つのことがブレイクスルーを可能にした。Marandiチームが使った材料、それを利用する方法である。まず、チームは、リチウムナイオベートとして知られている結晶材料を選択した、リチウム、ナイオベート、酸素の組合せは自然には起こらないが、過去50年、オプティクス分野で不可欠であることが証明されている。その材料は、本質的に非線形である。結晶で原子が配列される特別な仕方により、それが出力として生成する光信号は、入力信号に比例しない。

リチウムナイオベート結晶は数10年、オプティクスで使用されているが、最近では、ナノファブリケーション技術の進歩により、研究チームは、リチウムナイオベートベースの集積フォトニックデバイスを作製することができた。これは、小さなスペースに光を閉じ込めることができる。スペースが小さければ小さいほど、同じ量のパワーで光強度は、ますます大きくなる。結果的に、そのような光システムで情報を運ぶ光パルスは、他のもので可能なよりも強力な非線形応答を実現する。

Marandiチームは、光を時間的にも閉じ込めた。基本的に、光パルスの持続時間を減らした。パルスがデバイスを伝播する際にパルスを短くしておく特殊設計を使った。これにより、各パルスのピークパワーが高くなった。

この2つの戦術の組合せ、光の時空間閉込めは、所定のパルスエネルギーで非線形力を著しく強化する、これによりフォトンは、遙かに強力に相互作用するようになる。

最終結果は、非線形スプリッタの作製。ここでは、光パルスは、そのエネルギーに基づいて、2つの異なる出力へルーティングされる。これにより、50fs以下でスイッチングか可能になる。比較すると、最先端の電子スイッチは、数10psかかる、何桁もの差になる。
(詳細は、https://www.caltech.edu/)