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セルフドライブ顕微鏡、新しい材料への簡単な方法を発見

June, 17, 2022, Oak Ridge--米国エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究者は、直感的アルゴリズムで発見を促進するように顕微鏡に教え込んでいる。アルゴリズムは、研究所のNature Machine Intelligenceセンタで開発されたもので、エネルギー技術、センシングやコンピューティング向けの新材料でブレイクスルーを誘導できる。

「潜在的な材料は非常に多い。その中には、従来のツールでは全く研究できないものもあり、設計や合成にはもっと効率的で系統的なアプローチが必要である。われわれは、スマートオートメーションを利用して、未開拓の゛材料にアクセスし、これまでに可能でなかった発見への共有可能、再現可能なパスを実現する」とORNLのコンピュータサイエンス&エンジニアリング部門、CNMSのMaxim Ziatdinovは、コメントしている。

Nature Machine Intelligenceに発表されたアプローチは、物理学とマシンラーニングを組み合わせて、ナノスケールで材料の特性を調べるように設計された顕微鏡実験を自動化する。

機能材料は、熱、電気などの刺激に反応し、コンピュータやソーラセルから人工筋肉や形状記憶材料まで、日常的技術、新興技術の両方をサポートするように設計されている。その並外れた特性は、最先端の顕微鏡で観察できる原子構造やマイクロ構造に結びつけられている。しかし、課題は、これらの特性が出現する関心のある領域を見つけ、研究するための効率的な方法を見つけることだった。

スキャニングプローブ顕微鏡は、機能材料における構造-特性関係を研究するための基本的ツール。装置は、原子的にシャープなプローブで材料表面をスキャンし、ナノメートルスケールで構造を図示する。また、それらは、広い範囲の刺激に対する反応も検出でき、偏光スイッチング、電子化学反応性、プラスチック変形あるいは量子現象への洞察を提供する。今日の顕微鏡はナノメートルグリッドを点毎にスキャンできるが、そのプロセスは頭痛がするほど遅い。1個の材料で数日かけて収集する計測である。

「興味深い物理的現象は、少数の空間的位置のみに現れ、特殊な、しかし未知の構造的要素に結びついていることがよくある。われわれは一般に、われわれが発見しようと狙っている物理的現象の特徴的な機能についてアイデアをもっており、関心のあるこれらの領域を効率的に指摘することが主要なボトルネックてなる」とORNL CNMS研究者、論文の主筆、Sergei Kalininは話している。同氏は、現在テネシー大学で研究している。「われわれの目標は、顕微鏡に物理学的に興味深い領域を活発に探索させ、グリッドサーチを行うよりも遙かに効率的にさせることである」。

研究者は、この課題を克服するためにマシンラーニングと人工知能に眼を向けたが、従来のアルゴリズムは大きな、人がコード化したデータベースを必要とし、最終的に時間の節約にならない可能性がある。

自動化へのもっとスマートなアプローチでORNLワークフローは、マシンラーニング法に人間の物理的推論を組込み、非常に少ないデータベース、サンプルの1%以下から取得した画像を出発点として使用する。そのアルゴリズムは、実験で学んだこと、実験外からの知識に基づいて、関心のある点を選択する。

概念実証としてワークフローが、スキャニングプローブ顕微鏡を用いて実証され、十分に研究された強誘電材料に適用された。強誘電性は、再配向可能表面電荷を持つ機能材料であり、コンピューティング、作動、センシングアプリケーションに活用できる。研究者は、これらの材料が蓄積しているエネルギー量、つまり情報量とこの特性を支配する局所的ドメイン構造との関連を理解することに関心を持っている。自動化された実験は、これらのパラメタが最適化される特殊な位相欠陥(topological defects)を発見した。

「テイクアウエイ(takeaway)とは、ワークフローが、研究界で馴染みがある材料系に適用され、基本的発見、つまり以前には知られていなかった何かを素早く発見すること、この場合は、数時間で行われることである」(Ziatdinov)

結果は、従来のワークフローよりも、桁違いに高速であり、スマートオートメーションの新たな方向を示している。

「われわれは、以前の実験からのデータのみでコンピュータをトレーニングすることから脱したかった。それよりもむしろ、研究者のように考え、その場で学ぶ方法をコンピュータに教えたかった。われわれのアプローチは、人の直感からヒントを得ており、多くの材料の発見が、どこを見るべきかを考える研究者の技術と経験依存する研究者の試行錯誤で行われていることを認識している」とZiatdinovは話している。

ORNLのYongtao Liuが、CNMSの手術用顕微鏡でそのアルゴリズムを走らせる技術的問題を担当した。「これは既製の機能ではない。ハードウエアとソフトウエアを接続するには多くの作業が必要である。われわれは、スキャニングプローブ顕微鏡に集中したが、セットアップは他の実験イメージングや分光学アプローチにも適用可能であり、より広範なユーザコミュニティが利用できるようにしている」とコメントしている。

(詳細は、https://www.ornl.gov)