コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

量子ドットでペロブスカイト太陽電池の効率とスケーラビリティを強化

February, 4, 2022, Losanne--EPFLの研究者は、電子トランスポート層を量子ドットの薄い層で置き換えることでペロブスカイトソーラセルの効率とスケーラビリティを強化した。

ペロブスカイトは、金属ハロゲン化物と有機成分でできたハイブリッド化合物である。ペロブスカイトは、例えばLED光、レーザ、フォトディテクタなど幅広いアプリケーションに大きな潜在性があるが、その主要な貢献は、ソーラセルにある。ここでは、ペロブスカイトは、競合であるシリコンから市場をとろうとしている。

ペロブスカイトソーラセル商用化が直面している障害の一つは、拡大すると、そのパワー変換効率と動作安定性が低下することである。したがって、完全なソーラセルで高いパフォーマンスを維持することが課題となる。

問題は、一部は、セルの電子トランスポート層である。トランスポート層は、セルが光を吸収した時に生成される電子を、デバイスの電極へ確実に、効率的に移転する。ペロブスカイトソーラセルでは、電子トランスポート層は、メソポーラス二酸化チタンで作られている。これは、低電子移動度であり、紫外光下で有害な光触媒作用の影響を受けやすい。

Scienceに発表された論文で、EPFLのMichael Grätzel教授とKorea Institute of Energy ResearchのDr Dong Suk Kimは、ペロブスカイトソーラセルが大規模になっても、パフォーマンスを高め、それを高いレベルに維持する革新的方法を見いだした。その革新的アイデアは、電子トランスポート層を量子ドットの薄い層で置き換えることである。

量子ドットは、半導体のように機能するナノメートルサイズの粒子であり、照射すると特定波長の光を放出する。その固有の光特性により量子ドットは、PVデバイスを含め、様々な光学アプリケーションでの利用に理想的である。

研究チームは、ペロブスカイトセルの二酸化チタン電子トランスポート層をポリアクリル酸安定化酸化スズ量子ドットの薄い層で置き換えた。それがデバイスの光捕捉能力を強化し、同時に、効率を奪う現象、非発光性再結合も抑制することを確認した。この現象は、電子トランスポート層と実際のペロブスカイト層の間の界面を捉えることがよくある。

その量子ドット層を使って研究チームは、0.08平方センチメートルのペロブスカイトソーラセルが記録的なパワー変換効率25.7%(認定25.4%)と高い動作安定性達成を確認した。同時に、拡張も容易になる。ソーラセルの表面を1、20、64平方センチメートルに拡張したとき、パワー変換効率は、それぞれ23.3、21.7、20.6%だった。

(詳細は、https://actu.epfl.ch/)