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磁気制御ナノレーザで光信号を保護

January, 21, 2022, Espoo--Aalto Universityは、ナノレーザのON/OFFに磁界が使えることを示す新研究を発表した。この発見に内在する物理学は、外部の混乱によって妨げられない光信号の開発への道を開き、信号処理で前例のない堅牢さを達成できる。

レーザは、高輝度ビームに光を集光する。これは、ブロードバンド通信や医療診断デバイスなど、様々な領域で役立つ。約10年前に、プラズモニックナノレーザとして知られる極小、高速のレーザが開発された。これらのナノレーザは、従来のレーザと比べて潜在的にパワー効率が優れており、多くの分野で大きな利点がある、例えばナノレーザは、医療診断で使われるバイオセンサの感度を高める。

これまで、ナノレーザのON/OFFスイッチングには、機械的あるいは、熱か光のいずれかによる直接操作が必要だった。今回、研究チームはナノレーザを遠隔制御する方法を見いだした。

アールト大学、Sebastiaan van Dijken教授は、「ここでの新規性は、外部磁界でレーザ信号を制御できることである。われわれの磁気ナノ構造の周りの磁界を変えることで、われわれはレーザ発振をON/OFFできる」と説明している。

研究チームは、通常とは異なる材料のプラズモニックナノレーザを作製することで、これを達成した。金や銀などの通常の貴金属の代わりに、金の連続層上にパタン化された磁気コバルト-プラチナ・ナノドットを使用し、二酸化ケイ素を絶縁する。チームの分析は、その効果には、周期的アレイの材料とナノドットの整列の両方が必要であることを示していた。

フォトニクスは、極めてロバストな信号処理に進む
 その新しい制御メカニズムは、光信号を利用する幅広いデバイスに役立つことを証明するかも知れないが、トポロジカルフォトニクスの新興分野への関与はなおさら素晴らしい。トポロジカルフォトニクスは、外部の混乱によって乱されない光信号を生成することを目標にしている。これは、非常にロバストな信号処理を提供することで多くの分野にアプリケーションがある。

「その考えは、トポロジカルな、一定の特性を持つ特別の光モードを作れるというものである。これにより、攪乱に対抗して光モードをトランスポートし、保護することができる、とDijkenは説明している。「すなわち、デバイスに欠陥があるなら、あるいは材料がラフであるので、光は、邪魔されずに通過する、トポロジカルに保護されているからである」。

これまで、磁気材料を使ってトポロジカルに光信号の保護を実現することは、強力な磁界を必要としていた。新しい研究は、このコンテクストでは磁気効果は、特殊な対称性のナノ粒子アレイを使うことで予想外に増幅可能であることを示している。研究チームは、その成果が、新しいナノスケールのトポロジカルに保護された信号への道を指し示すと考えている。

「通常、磁気材料は、光の吸収と偏光で極めて微小な変化を起こす。この実験では、われわれは、光学反応で最大20%の極めて大きな変化を作り出した。これは、以前には見られなかったことである」(van Dijken)。

アカデミー教授、Päivi Törmäは、「これらの結果は、磁気効果が、ナノ粒子アレイ形状の適切な選択により増幅されるようなトポロジカルフォトニック構造の実現可能性を示している」と付け加えている。
(詳細は、https://www.aalto.fi)