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ETH-Zurich、フェムト秒レーザをカスケードして中赤外

December, 6, 2021, Zurich--中赤外領域の量子カスケードレーザ(QCL)からのフェムト秒パルス放出の初のでモンストレーションは、超短パルスレーザの新しいアプリケーションに道を開く。

連続ビームではなく極短バースト(一般にはピコ秒以下)で光を放出するレーザは、様々な分野の科学、技術を変革する。「超高速」タイムスケールで原子および分子のプロセスを研究することから、高集中エネルギー量を材料加工や目の手術に精密供給することまでである。現在、可視光から近赤外範囲のそのような多くのアプリケーション向けに様々なレーザが存在する。対照的に、より低い周波数のデバイスは、相対的に長いパルス幅、低ピークパワーに制限されることがあり、複雑な、かさばる器具を必要とする。これが、量子エレクトロニクス研究所、Jérôme Faist教授の前進により、これから変わろうとしている。Nature Photonicsに報告されているところでは、研究チームは、初めて中赤外域で強力なフェムト秒パルスの生成を実証した。これは、極めて実用的な関心が高い周波数帯域である。それが、幅広い範囲の分子の伸縮、振動、回転に関連しており、「分子フィンガープリント」と呼ばれているからである。

量子カスケードレーザの領域拡大
 実験では、ETHチームは、量子カスケードレーザ(QCLs)を使用した。QCLsは、多くの基礎研究や実用的アプリケーションに利用されてきた。特に中赤外(25-100THz)。しかし、超短パルスは、これまでは、QCLsが提供する道具箱にはなかった。QCLsが直接中赤外放射を生成することを考えれば、これは重要なギャップである。すなわち、他のタイプの中赤外光源のように、一般にパワーレベルを制限する非効率プロセスである高周波から低周波への光変換に依存しない。

QCLsで超短パルスを生成するための主要なボトルネックは、キャビティ内部(レーザパルスが形成されるところ)の活性媒体の高速ダイナミックスが、ハイパワーパルス構築の障害となっていることである。この制約を回避する方法はあるが、中赤外QCLsで生成されるパルスは、これまでのところ、ピコ秒、サブWパワーに制限されていた。したがって、その応用は制約されていた。今回、FaistグループのPh.D学生Philipp Täschlerと他のメンバーが複数の技術をうまく統合した。さらに、同グループは、QCLsから放出されるパルストレイン、周波数コムの位相挙動に関して最近の実験的および理論的発見を活用した。これらの新しい洞察を考慮して、グループは、キャビティ外のパルス圧縮のために十分に確立された方法を当面の問題に利用できることを理解した。これが、中赤外で強力な超短パルス生成のカギであることが実証されたのである。

研究グループは、そのようなパルス生成に取り組むとともに、これら閃光を評価する新しい光サンプリング技術も開発した。これにより、中赤外パルスを新たな領域に押し出すことに成功したことが確認された。
 チームは、最先端技術よりも5倍短いパルス幅630fs、ピークパワー4.5Wを作り出した。パワーは、以前の成果の約10倍。これらのパルス幅は、所定の光帯域で基本的に可能なものの下限に近い。しかし、より広い帯域幅では、300fs幅が可能であるとチームは考えている。同様に、さらなる改善でピークパワーは100W程度が可能である。これは、全中赤外スペクトルをカバーするダイレクト、強力な光源の将来の見通しを高めるものである。

これらは明るい展望である。QCLsは、チップに組みこめるコンパクトな光源であるので、なおさらである。研究チームは、分子フィンガープリント領域で超高速ダイナミクス評価への実用的なルートを有望視している。基礎的面では、高ピークパワーは、非線形効果の利用で、新しいクラスの実験も可能にする。これは、今度は精密計測における新機能につながる。
(詳細は、https://www.phys.ethz.ch)