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Science/Research 詳細

パターン化石英ガラス層により太陽電池を自己冷却

July, 29, 2014, Washington--スタンフォード大学電気工学教授、Shanhui Fan氏の研究チームは、特殊パタンを施した石英ガラスを通常の太陽電池に加えることで、不要な熱放射を取り除き太陽電池に自己冷却させる方法を開発した。
 太陽電池は、最良の設計でも太陽から受けたエネルギーのほんの一部を使える電気に変換しているに過ぎない。
 この損失部分は、太陽光を電気に変換する際の不可避の結果ではあるが、驚くほど残念な量が、太陽電池の加熱による損失である。
 通常の動作条件では、太陽電池は簡単に55℃、それ以上に達する。この厳しい条件がたちまち効率性を奪い、太陽電池の寿命を著しく短縮する。しかし、空調か冷却液のいずれかで能動的に太陽電池を冷却しようとすると、法外に高価になり、太陽に当たることを最適化する必要性と争うことになる。
 新たに提案された設計は、より洗練されたパッシブアプローチで冷却することで、こうした問題を回避する。微小なピラミッド形状および円錐形状の構造を石英ガラスの極薄層に埋め込むことで、不要な熱を赤外放射の形で太陽電池表面から大気を通して空間に逃す方法を研究チームは開発した。
 変換されない太陽エネルギーは無駄な熱を生み、容赦なく太陽電池のパフォーマンスを低下される。温度が1℃上昇するごとに、太陽電池の効率は約1/2%低下する。
 また、温度が上昇するとき太陽電池は急速に「老化」する、1℃上昇すると老化率は2倍になる。
 太陽電池をパッシブに冷却するには、つまりエネルギーを使うことなく余分な熱を放出させるには、光の基本的な特性を利用し、地球の大気を通して特別な赤外「ウインドウ」を活用する必要がある。
 光の様々な波長が多様な方法で太陽電池と相互作用する。可視光は最も効率よく電気を生成するが、赤外光は熱を運ぶ点でより効率的である。波長が違えば、光の曲り方も屈折も違う。これは、波長が透過する材料の種類と形状に依存する。
 研究チームは、これら基本的な原理を利用して、熱波長で太陽電池から運び去られるるエネルギー量を強めながら、可視光が妨げられることなく加えたシリカ層を透過するように設計した。
 「シリカは可視光に対して透明であるが、特定の波長の光をどのように曲げ、屈折させるかを微調整することもできる。慎重に設計されたシリカ層は太陽電池のパフォーマンスを劣化させないが、予め設定した熱波長で放射を強め、太陽電池の熱をより効率的に放出させる」とFan教授は説明している。
 研究チームは、アイデアをテストするために、2つの異なる石英カバーデザインを比較した。1つは約5㎜厚の平坦面、もう1つはそれよりももっと薄く、数µm厚のピラミッドやマイクロコーンで覆われている。これらのサイズ的な特徴は重要であった。ピラミッドやマイクロコーンの幅や高さを正確に制御することで不要な赤外波長だけを屈折させ、方向を変えさせて太陽電池から空間に逃がするように調整できる。
 「目的は、太陽電池の太陽高吸収を維持しながら太陽電池の動作温度を下げることだった。シリカのフラット層はある程度のパッシブ冷却に役立ったが、シリカのパタン化層は5㎜厚の均一シリカデザインを大きく上回る性能を示し、理想的な構想とほぼ同一のパフォーマンスを示した」とFan教授は語っている。
 研究チームの次の段階は、太陽電池の放射冷却を屋外環境で実証することである。