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脊髄ニューロンの活動を制御する新しい光電インプラント

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November, 10, 2021, Lausanne--EPFLで開発された革命的なインプラントにより神経科学者は、特定波長の光を当てることで特定の脊髄ニューロンの活性化と抑制ができる。これにより研究者は、神経系の働き方を洞察し、神経疾患を処置する新方法を開発する機会が得られる。

Grégoire Courtineは、光遺伝学の新分野を説明する際に遠慮なく“革命的”という言葉を使う。光遺伝学は、光パルスを使って,個々の神経活動をコントロールする技術。同氏は、NeuroRestore研究センタ(神経外科医Jocelyne Blochとともに)ディレクタてあり、現在、Stéphanie Lacour(Neuroprosthetic TechnologyのBertarelli Foundation Chair)と協働でオプトジェネティック(光遺伝学)インプラントを開発している。Courtineは、「われわれのシステムにより、脊髄のいかなるニューロンの活動でも制御できる。これは、神経系の全般的な機能において、それが担う役割の理解に役立つ」とコメントしている。

このブレイクスルーのカギは、Lacourの研究グループが開発した新しいインプラント技術。「われわれは、フレキシブルインプラントに微小LEDsをエンカプセルする方法を見いだした。インプラントは、細いが、マウスの脊髄に適用できる程度に頑丈であり、腰部全体に沿って脊椎骨の下に滑り込ませて埋め込む。次に、われわれはETH-Zurichの研究者と協力して、ワイヤレス電子回路を作製した。これを使って1個あるいは数個のLEDsを切替え、極めて正確に発光の持続と強度を制御できる。最終的にカスタマイズされた埋込システム・オン・チップにより、光パルスを自然に管理できる。例えば、筋肉活動に反応して、あるいは他の生理学的信号に反応してである」(Courtine)。光電インプラント可能システムは,Bluetoothで制御される。

可能な限り自然な動作
Courtineは、同システムが自律的に動作できることが極めて重要である、と強調している。「それにより、われわれは、この種の研究で一般に必要とされている有線ベースのシステムから解放される。これで、われわれは、自由に動き回るマウスを観察できる。また、エコロジカル環境で、歩行、泳ぎなどの複雑な動作でニューロンの担う役割を研究することができる」。

その技術の開発で最大の課題の1つは、神経線維に吸収されず反射されることなく脊髄深部まで浸透する光パルスの管理方法を見つけ出すことだった。その問題を解決するために研究チームは、赤色光を発光するようにLEDsを変更した。赤色は,ダイオードの発光する青色と比べると神経線維による影響は著しく少ない。

新しい治療への道
研究チームの発見は、光遺伝学の新たな治療応用の開発を促進しそうである。特定の脊髄神経を光を使って刺激または抑制できることにより、究極的に医者は、痛みを軽減し、自律機能を改善、麻痺さえも処置できるようになる。そのインプラントが臨床的に利用されるまでには長い道のりがあるが、そのインプラントのバージョンが、それほど遠くない将来、人間の患者で利用できるようになると研究チームは考えている。
(詳細は、https://actu.epfl.ch)