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チップベース光ピンセット、真空でナノ粒子を空中浮揚させる

November, 1, 2021, Washington--パデュー大学の研究者は、真空中にナノ粒子を光学的に浮揚させるために使える微小なチップベースの光ピンセットを開発した。
 光ピンセットは、強く集束したレーサビームを使って生きた細胞、ナノ粒子や他の物体を保持する。用途は、様々な精密計測およびセンシングアプリケーション。しかし、これらの光学的トラップは、通常、大きな光コンポーネントで作られる。

「超薄メタレンズを利用することでわれわれは集束レンズの径を約25㎜から0.4㎜に縮小した」と研究チームリーダー、パデュー大学のTongcang Liは説明している。「チップベースデザインを使って、集積されたフレキシブルな光学系を実現できる。目的は、表面から1µm以下の距離で物体をトラップすることで近接表面力を調べること。それは、量子プロセスを研究するために真空中のコールド原子のトラップに有用である」。

パデュー大学とペンシルベニア州立大学の研究チームは、超薄メタレンズによる真空中オンチップ光浮揚の初の実現をOpticaに発表した。真空中でのこの成果の達成は、システムの感度改善に役立つ。

「光浮揚粒子は、潜在的にナビゲーションに利用できる加速度計やジャイロスコープの実現に使える。研究者は、ダークマター、ダークエナジーの研究、短距離重力の研究にも光浮揚粒子を利用している。これは、われわれの自然理解を深める」とLiはコメントしている。

ポータブルトラップ
この新研究は、以前の研究から生まれたものである。真空中で光浮揚を利用して最速人工ローター、最高感度トルクディテクタ実現がこれまでに報告されている。

「次のステップで、われわれは、システムを持ち運びできるほどに最小化して、光浮揚技術をより実用的にしたかった。われわれはメタレンズを利用して集束レンズのサイズを減らすことから始めた。メタレンズとは、光を集束するためにナノ構造を利用する一種のフラットレンズである」(Li)。

新しい研究では、研究者は、数千のシリコンナノピラーで構成されたメタレンズを設計した。メタレンズの直径は、以前に利用されていた従来の対物レンズよりも約50倍小さかった。

「研究グループは、最近、液体中でメタレンズベース光トラッピングを実証した。真空中での光トラッピング実行は、液体や空気からのノイズ最小化に役立つが、実現は遙かに難しい」とこの研究の筆頭著者、Kunhong Shenは説明している。

フラットレンズにより浮揚
新しい光学設計をテストするためにチームは、強いレーザビームをメタレンズ上に誘導し、トラッピング力を生成した。チームは、トラッピングエリアに希釈したナノ粒子溶液をスプレイした。ナノ粒子がトラップされると、それはカメラで観察可能な明るい点のように見える。フォトンディテクタが、リアルタイムでそのナノ粒子の動きを計測した。

チームは、メタレンズで真空中に圧力2 x 10-4 Torr — 約 1/4,000,000大気圧-でナノ粒子を浮揚させることができた、フィードバック安定化は不要だった。チームは、2つの光学トラップ間で浮揚ナノ粒子を転送することもできた。

「われわれのメタレンズは、厚さ500nm程度、約0.9の大きなNAのナノ構造層。それは、従来のかさばるレンズと同等のパフォーマンスである。そのメタレンズは、完全真空適合である。また、興味深いことに、追加機能をもつようにそれを柔軟に設計できる。例えば、集束光から低空間周波数成分をフィルタリングアウトする。これは、ナノ粒子の光浮揚に有益であることをわれわれが実証した」とPennsylvania State UniversityのXingjie Niは話している。

研究チームは、現在、メタレンズの転送と集束効率を増強することでその微小浮揚デバイスの改善に取り組んでいる。また、メタレンズの径をさらに小さくして、光浮揚を実世界のアプリケーションにさらに実用的にしようとしている。
(詳細は、論文: “On-chip optical levitation with a metalens in vacuum” Optica, 8, 11, 1359-1362 (2021).
DOI: https://doi.org/10.1364/OPTICA.438410)