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Science/Research 詳細

ナノアンテナで、光の波長よりも短い距離で写真が撮れる

July, 24, 2014, Urbana--イリノイ大学アーバナキャンパスの研究チームは、新しい金のピラー・ボウタイナノアンテナ(pBNAs)アレイを従来の写真フィルムのように使って、光の波長よりも遙かに短い距離の光を記録できることを実証した(例えば、赤い光なら、距離<600nm)。標準的な光学顕微鏡は「ナノカメラ」として機能し、pBNAsはフィルムに類比的である。
 「従来の写真フィルムと異なり、効果はリアルタイムで見ることができる。この多機能プラズモンフィルムが壁のない光流体チャネル作製に使えることを実証した。pBNAsにニアフィールド光情報を記録するには単純なダイオードレーザと低入力パワー密度で十分であるので、これは光データストレージアプリケーションの潜在力を高めることになる。ここでは、市販のローコストの、読み書きするレーザシステムを使う」とKimani Toussaint氏は説明している。同氏は、この研究のリーダーで、機械科学・工学准教授。
 「粒子の操作は原理証明の適用である。特に、溶液に捕捉された粒子の軌跡は、pBNAsに書き込んだパタンによって制御される。これは、粒子をガイドするために表面にチャネルを造ることに等しい。ただし、これらのチャネルは物理的な壁を持たない(物理的なチャネルが、PDMSのような材料に造られている光流体システムと対照的)。
 この成果を証明するために研究チームは、様々なパタンを描いた(ホログラフィック的にpBNAsに転写、ステアリングミラーを使ったレーザ描画)。
 研究チームによると、基本的なビットサイズは現在、アンテナ間隔425nmで設定している。しかしフィルムのピクセル密度は、簡単に縮小できる。それには、もっと小さなアレイ間隔、もっと小さなアンテナサイズ、もっと強い集光レンズを使用して記録する。
 「標準的なBluRay/DVDディスクサイズでは、ディスクあたりの総容量は28.6GB。アレイスペースやアンテナ特性を変えることで、この値をディスクあたり75GB以上に拡張することが可能だ。言うまでもなく、これはさらにすばらしいフォトニック応用、例えばlab-on-chipナノピンセットやセンシングなどに使える」と論文の筆頭著者、Brian Roxworthy氏は説明している。
 また、論文の共著者、Abdul Bhuiya氏は「われわれの新しい技術では、ナノアンテナのレーザ照射により制御された加熱を利用してコントロールし、プラズモン応答を即時に変えることができる。これは画期的であるが、空間的にプラズモン構造を変えることは簡単であり、ナノテクベースのバイオメディカル技術やナノオプティクスの分野に新しい道が開ける」とコメントしている。