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将来のエレクトロニクスは水晶ではなくレーザ依存

July, 22, 2014, Pasadena--ほぼ全てのエレクトロニクスは発振器というデバイスを必要としている。発振器は正確な周波数を作り出し、時計の時間を正確に保ち、信頼できる信号を無線機に送るのに利用されている。
 約100年、これらの発振器は水晶結晶に依存して周波数レファランスを提供してきた。ピアノの調律で用いるチューニングフォークと似た役割だ。しかし今後のハイエンドナビゲーションシステム、レーダシステム、恐らく直ぐにも市場投入されそうなコンシューマエレクトロニクスでさえ、水晶のパフォーマンスを超えるレファランスを必要とするようになる。
 Caltech、Kerry Vahala研究室の情報科学技術および応用物理学、研究者、Ted Jenkins, Ginger Jenkins教授は、ギガヘルツ(GHz)範囲のマイクロ波信号を安定化する方法を開発した。これには、結晶の代わりに1ペアのレーザビームをレファランスに使用する。
 水晶は、相対的に低周波、メガヘルツ(MHz)程度の振動で発振器を調整する。水晶は、低周波のチューニングは得意であるが、数年前、電気周波数分割という技術を適用できるようになった。この技術は高周波マイクロ波信号を低周波信号に変換し、それを水晶で安定化することができる。
 Vahalaの研究チームは、この新しい技術を電気-光周波数分割と呼んでいる。これは光周波数分割法が元になっており、10年以上前にNISTが開発したものだ。「われわれの新しい方法は、標準的な安定化されたマイクロ波発振器で使われているアーキテクチャを反転し、水晶レファランスを、安定化に使われているマイクロ波信号よりも遙かに高周波の光信号で置き換えた」とVahala氏は説明している。
 研究チームが使った光レファランスは、微小ディスク程度にしか見えないレーザ。直径はわず6㎜、電子の代わりにフォトンで駆動する電子デバイスのようなコンパクトなフォトニクスデバイス内では特に役立つ。
 「最高パフォーマンスと、最小サイズ、集積のしやすさの間には常にトレードオフがある。しかし、今回のデモンストレーションでは、これらの光発振器が多くの利点があることが示された。現在、幅広く普及している電子技術に比肩するものであり、場合によっては、それよりも優れている」とVahala氏はコメントしている。
(詳細は、www.caltech.edu)

画像)わずか6㎜ディスクのレーザ周波数レファランス(左)。中央は、現在幅広く使われているクオーツチューニングフォーク。