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LANL、電気励起コロイド量子ドットレーザに見通し

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October, 6, 2021, Los Alamos--Nature Photonicsの査読済み記事でロスアラモス国立研究所(LANL)は、将来の電気励起デバイス、つまりレーザダイオードに焦点を当てたコロイド量子ドットレーザの研究の現状を評価した。考察は、電気励起でレーザ発振を実現するための課題を分析し、それらを克服するアプローチを議論し、この目標に向けた最近の進歩を概観している。

LANL化学部のシニア研究者、論文の主筆Victor Klimovは、Nature Photonicsのカバー記事で「コロイド量子ドットレーザは、集積光回路(PICs)、ウエアラブル技術、lab-on-a-chipデバイス、先進的医療イメージングや診断を含め、幅広いアプリケーションに途方もない可能性がある。これらの溶液処理量子ドットレーザダイオードには、独特の課題があるが、克服でわれわれの進歩は著しい」とコ説明している。

半導体レーザ、つまりレーザダイオードは、多くの一般的なコンシューマ製品、通信、科学研究,医療、宇宙探査で使われる高度な装置の重要部分である。通常、これらのデバイスは、真空で層ごとの原子的堆積により成長される超薄膜、つまり量子井戸を使う。

材料特性の絶妙な制御はできるが、この成長法は非常に要求が厳しく、クリーンルーム環境を必要とする。加えて、レーザ発振材料と下の基板として利用される相互に適合する材料は非常に少数に限定される。特に、適合性の問題は、既存の半導体レーザと標準的なシリコンベースのマイクロエレクトロニクス集積の適合問題を非常に複雑にする。

「これらの問題は、原理的に、安価な溶液処理可能な光エミッタで解決可能である。特に、標準的な量子井戸の魅力的代替は、ベンチトップコロイド化学により準備される半導体粒子である」(Klimov)。

コロイド量子ドットレーザ開発に直接関係する多くの重要なマイルストーンは、ロスアラモス、化学部のナノテクノロジーと先端分光チームで達成された。このチームは、20年にわたり最先端の量子ドット研究に取り組んでおり、量子ドット合成、その基礎研究とデバイスアプリケーション領域の多くの貢献に関与している。

コロイド量子ドットは、安価な、直ちに利用できる先駆体を利用して、標準的ウエット化学ラボで大量合成できる。さらに、それらは実質的にとんどな基板とも結合できる。これは,シリコンマイクロエレクトロニクスの適合性問題を解決し、従来のレーザダイオードではアクセスできないような新しいアプリケーション領域を開く。

コロイドナノ結晶独自の量子的性質から得られる付加的利点もある。特に、その超微小サイズにより、その発光波長は、ナノ結晶寸法を変えることで直ぐに調整可能である。この強力な機能により、超ワイドな範囲の利用可能な色のレーザダイオードが可能になる。さらに、量子ドット原子的状態のディスクリート構造は、最小エネルギー放出状態の熱過疎化を抑制し、それによりレーザ発振閾値を下げ、レーザ発振デバイスの温度安定性を改善する。

「この潜在的な利点にもかかわらず、コロイド量子ドットは,レーザ発振が難しい材料である。高品質のナノ結晶が、90年代早期より利用できるようになっている。しかし、2000年頃まで、それらはレーザ発振しなかった。その時点でロスアラモスのチームが、セレン化カドミウムナノ結晶による光増幅効果を初めて実証した。

このデモンストレーションの要は、ロスアラモスにおける2つの重要な発見だった。1つは、光利得が (標準的な発光プロセスにおけるような) シングルエキシトンではなく、バイエキシトンと他の高多重性状態に依存していること。特定されたもう1つの問題は、バイエキシトン状態の一次非活性化チャネルが、極めて高速の非放射オージェ(Auger)再結合だったこと。これによりバイエキシトンは、光の代わりに熱を生成する。

これらの課題を解決するためにロスアラモスの研究者は、高密度量子ドット固体を使った。これにより、オージェ崩壊を上回るように誘導放出率を強化することができた。さらに、チームは、極めて短いパルス(100fs程度)を利用して、オージェプロセスで崩壊する前に、バイエキシトンで量子ドットをいっぱいにした。このアプローチは、待望の結果をもたらした。増幅された自然放出光、コロイド量子ドットレーザ発振の概念実証の実現である。

オージェ再結合は、まだ、技術的に実行可能な量子ドットレーザ実現の主要障害である。もう1つの課題は、レーザ発振に必要とされるセンチメートル平方当たり数100アンペアの超高電流密度を維持できる実用的なデバイスの開発である。そのような構造の実現は非常に複雑である。これは、粒状量子ドット固体の不十分な電荷輸送特性、溶液処理電荷輸送層の高抵抗によるものである。結果として、デバイスは、高い電流密度で直ぐにオーバーヒートし、結果的に、熱誘導ブレイクダウンにより失敗する。

熱損傷問題を解決するためにロスアラモスは、電流が50×300µmの小さなエリアに限定される新しいデバイスアーキテクチャを開発した。この電流集中アプローチは、電流密度を強化し、同時に熱生成量を減らし、環境との熱交換を改善する。追加の仕掛けは、活性ボリュームが、熱を周囲媒体に放出する機会となっていた、短い電流バースト間にキャリアを供給することだった。

これらの手段により、平方センチメートル当たり約1000Aという前例のないレベルに電流密度を高めることができる。これは、以前の記録と比べて100倍の強化である。また、赤から黄色までの幅広い波長で、単一量子ドットサンプルによってレーザ発振を維持できるブロードバンド光利得達成に十分であった。

もう1つの課題は、光共振器の組み込みである。それが電荷注入経路を邪魔しないように、同時に、電荷トランスポート層の「光損失」があっても、レーザ発振を維持することである。この問題は、先頃、ロスアラモスの研究者が解決した。

特に、光共振器が、電子インジェクタとして機能する層に彫り込んだ周期的グレーティングとして準備された興味深いアプローチを適用した。この方法で研究チームは、LEDの標準的なアーキテクチャを維持し、レーザ発振デバイスの付加的機能をそれに与えた。開発されたデュアル機能構造は、電気励起で動作する標準LED、および光学的に動作するレーザとして機能した。

最終ステップは、これらの戦略の全てを電気励起でレーザ発振が可能な単一のデバイスに統合すること。超高電流密度アーキテクチャの最近の進歩とキャビティ統合のレシピ成功を考慮すると、コロイド量子ドットレーザダイオードの提案は、間もなく実現する可能性がある。
(詳細は、https://discover.lanl.gov)