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チャルマース、光通信を変える独自の増幅器

October, 5, 2021, Chalmers--チャルマース工科大学の研究者は、宇宙通信とファイバ通信の両方を変革すると期待される独自の光増幅器を提案した。新しい増幅器は、高性能であり、数ミリサイズのチップに組みこめるほどコンパクト、さらに極めて重要なことだが、過剰ノイズを生成しない。

「これは、もっと旧いダイアルアップから最新のブロードバンド、高速、高品質に切り替えることに比肩できる」とPeter Andrekson教授は言う。同教授はチャルマースのマイクロ技術/ナノサイエンス学部フォトニクス研究所長。

光通信は、情報を超長距離伝送できる。その技術は、宇宙通信、インターネットトラフィック向けの光ケーブルなど、幅広いアプリケーションで有用である。

RFではなく、光ベースの通信では、例えば火星から高解像度画像を高速伝送できる。レーザビームで送られる情報は、惑星の送信器から地球あるいは月の受信器に高速伝送される。光通信により、われわれは世界中でインターネットを利用できる。

2点間で情報を運ぶ光は、伝送路でパワーを失うので、多数の光増幅器が必要になる。増幅器なしでは、光ファイバケーブル中の信号の99%が100km以内に消失する。

過剰ノイズとの絶えざる闘い
 光通信におけるよく知られた問題は、過剰ノイズである。これが、送受信したい信号の品質を害する。今回、チャルマースの研究チームは、数10年来の障害に対する極めて有望なソリューションを紹介した。

「われわれは,世界初の光増幅器を開発した。これは、光通信の距離、感度、性能を著しく強化するものであり、また実用利用に適したコンパクトサイズでもある」とScience Advancesに発表した論文の主筆の一人、チャルマースフォトニクス研究所、ポスドクPing Zhaoは説明している。

プロジェクトの光増幅は、カー効果として知られる原理に基づいている。これはこれまで、大きな過剰ノイズを起こさずに増幅する唯一のアプローチとして知られていた。原理は以前に実証されているが、そのようなコンパクトなフォーマットでは実証されていない。以前のバージョンは実用には大きすぎた。新しい増幅器は、わずか数ミリサイズの小さなチップに収まる。以前の増幅器は、数千倍大きい。

微小、静粛、ハイパフォーマンス
 加えて、新しい増幅器は、無駄なく設置できる高い性能レベルであり、よりコスト効果の高い選択肢となる。それらは、パルス動作だけでなく、連続波(CW)動作でも使える。

「われわれは、コンパクトな集積チップで初めて、極めて低雑音のCW動作を紹介している。これは、多様なアプリケーションで実用的な利用の現実的な機会となる。その増幅器は非常に小さなモジュールに組みこめるので、著しく優れた性能の安価なソリューションの実現となる。長期的には、これは商用プレイヤの極めて高い関心を呼び起こす」と研究リーダー、Peter Andreksonは話している。

同氏によると、その新しい成果は、技術と科学の両方で全く新しいアプリケーションに扉を開く。

研究について
チャルマース研究者は、初のコンパクトCW励起モノリシックパラメトリック増幅器を発表した。また、ノイズ性能が、従来の量子限界以下であることを証明した。その成果は、分散型設計集積導波路SiN材料プラットフォームで、これまでに達成された中で最小の損失により可能になった。
(詳細は、https://www.chalmers.se)