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ガラスに埋め込まれたソーラモジュール

July, 16, 2014, Paris-- 有機ソーラモジュールは、シリコン太陽電池に対して優位点がある。しかし、致命的な問題は寿命が短いこと。フラウンホーファー応用ポリマ研究所IAPの研究者たちは有望なソリューションに取り組んでおり、柔軟なガラスをキャリア基板に使おうとしている。これによって、コンポーネントに対する保護が改善される。
 このアプローチは、今日すでに電子デバイスにある程度採用されつつある。有機太陽電池(OPV)がフィルムに埋め込まれており、これらのOPVsは、シリコンベースの太陽電池に対する有望な代替となる。材料は大気圧でも加工できるが、主要な優位性は、そのモジュールがプリンティング技術を利用して製造できることだ。これは無機のコンポーネント製造に必要な工程よりも高速であり、効率も高い。基板材料の柔軟タイプはプリンティング工程を利用する製造では必要になる。これまでは、深刻な欠点を持つポリマ薄膜が使われていた。この薄膜は湿気や酸素を透過させる。これら両方ともソーラモジュールの感度に害を与え、その寿命を著しく短縮する。今まで、アプリケーションによっては障壁層を持つ基板がOPVモジュールを保護していた。より高い加工温度、さらに長寿命化するには別のキャリア基板を使わなければならない。
 研究チームは、現在新しいキャリア材料に取り組んでおり、ソーラモジュールをガラスの薄い層に埋め込もうとしている。「ガラスは理想的な封入材料であるだけでなく、400℃までの加工温度に耐えられる」とプロジェクトマネージャ、Danny Krautz氏は説明している。研究開発では、コーニングの特殊ガラスが用いられている。その特殊な物理特性により、わずか100µm厚の層が造れる。この特殊ガラスは破損耐性が高く、非常に強靱であるだけでなく、固形のままでもなだらかに曲がるほど柔軟である。研究チームは、コーニングと協力してすでに、1枚ずつスタックしたこの材料で初めての実用的なOPVsを作製した。
 目標は、これらのモジュールをロールで製造すること。この場合、キャリア基板は、新聞が印刷されるのと同様に、ロールに巻かれる。光活性層や電極は、2つのロールの間に、数段階でプリントされる。この製造技術を用いて、大型表面は効果的に順次製造できる。IAPの研究チームは、柔軟なガラスがこの方法でどのように加工できるかの最初のテストを開始した。