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Science/Research 詳細

Fraunhofer ILT、100のレーザをクラウドにより制御

August, 19, 2021, Aachen--Cluster of Excellence “Internet of Production” (IoP)に、Fraunhofer ILTと協力したRWTH Aachen Universityの200名の研究者が、産業プロセスを制御、モニタリングするためのデータセンタを設立した。
 このコンセプトは、Fraunhofer ILTで開発されたレーザシステムを制御するプロジェクトを基盤にしており、オープンソースソフトウエアKubernetesを利用する。対応するシステムは、2年間、同施設で首尾良く稼働しており、それにより同研究所は新しいレーザ向けのソフトウエアを自動的、遠隔的にわずか数分でインストールできる。

複雑なレーザシステムを効率的にセットアップ
 超短パルスレーザ(USP)は、ほぼどんな材料でもマイクロメートル精度でアブレートできる複雑なシステム。多くのセンサが装置を制御し、レーザプロセスを誘導する。コンポーネントを制御し、センサからのデータを読むソフトウエアは、その結果、多様になる。産業生産では、多くのそのようなシステムが並行して使用されることがよくあり、50のシステムが並んでいることは珍しくない。しかし、ソフトウエアの効率的なインストールはどのようにできるか。中央からどう制御するか。

ソリューション
RWTH Aachen大学Laser Technology LLTチェア、Fraunhofer ILT関連チェア、Moritz Krögerは、的確にこの問題に取り組んだ。「現在のプログラマブルロジックコントローラでは、1つのデバイスを非常に上手く制御できるが、10台以上、100台を同時に制御することは難しい」。50から100のレーザを制御するこの状況では、従来のコンセプトは、これらのシステムに新しいソフトウエアをインストールし、センサデータをリアルタイムで評価するには、十分とは言えないことは予見できる。

「われわれは、マシン制御システムを完全にリプログラムした。これによりわれわれは、最初から実証済みのオープンソースソフトウエアを利用することができるようになった。これは、分散システムへの適合性があり、開発オプションもある」。こうして、研究所は、レーザ加工操作を制御、最適化できる。そうした操作は,例えば、スキャナ制御からのデータ、様々なソースからのセンサデータ、工程稼働中の分析データを考慮しなければならない。同プロジェクトは2018年に始まり、制御システムは現在、Fraunhofer ILTで安定してベータフェーズ稼働に入っている。

データセンタの中核にはKubernetes、オープンソースソフトウエアがある。これは、分散コンピューティングシステムでアプリケーションプログラムを自動的にインストール、拡張、維持できる。Kubernetesは最初にGoogleが設計し、以下の主要クラウドプラットフォームによってサポートされている。Microsoft Azure、IBM Cloud、Red Hat OpenShift、Amazon EKS、Google Kubernetes Engine and Oracle OCI。

将来の自動化製造のための分散コンピューティング
 潜在力は、RWTH Aachen Universityで認められていた。2019年初め、そのコンセプトは、大学のデータセンタにFraunhofer ILTが採用した。Cluster of Excellence “Internet of Production”で、エンジニアは、製造技術のデジタル化に取り組んでいる。目標は、領域間共通の協働を増やし簡素化すること、多くの異なるソースからの全てのデータをリアルタイムでセキュアにバンドルすること。また、全てサイバー・フィジカルシステムおよび第4産業革命との関連で行うこと。

35を超える大学とそれ以外の研究機関、Fraunhoferの3研究機関、FIT、ILT及びIPTが関わっている。

Data Center of RWTH Aachen University とFraunhofer ILTの両方で、システムは利用され、継続して改良されている。ソフトウエアの自動分配、USPレーザシステムのアプリケーション分析は高信頼に機能している。「5分で、われわれはソフトウエアを実装し、新しいレーザのハードウエア接続を行うことができる。これには、クラウドベース環境への組み込みも含まれる」とMoritz Krögerは現状を説明している。研究は現在、計測データを自動評価に結びつけるところである。目標は、可能な限り多くのシステムからのデータを統合し、それをユーザ向けにグラフィカルに準備すること。将来的には、レーザシステムのプロセスは、マシンラーニングによるAI領域のデータから最適化される。

(詳細は、https://www.ilt.fraunhofer.de)