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リンショーピン大学、新しいカラーディスプレイを開発

August, 5, 2021, Linköping--リンショーピン大学(Linköping University)の研究チームは、構造色に基づいた新しいタイプのディスプレイにつながる方法を開発した。その発見は、安価でエネルギー効率のよいカラーディスプレイや電子ラベルに道を開く。研究成果は、Advanced Materialsに発表された。

通常、われわれは、色素によって色が作られると考えている。ある波長の光を吸収し、散乱する他の波長がわれわれの眼に届いて色を感じる。しかし、色は他の方法でも作られる。構造によって色づいて見える物質もある。構造色は、光が物質内でナノメートルスケールで反射される時に生ずる。これは、通常、干渉効果と言われている。自然に見られる例は、クジャクの羽である。これは基本的にはブラウンであるが、小さな構造的な特性から特徴的なブルーグリーンの光沢となる。

リンショーピン大学をの研究者は、反射型カラーディスプレイに使うための構造色を作る新しい簡素な方法を開発した。その新方法により、エネルギー効率のよい薄く、軽量なディスプレイの製造が可能になる。アプリケーションは幅広い。

反射型カラーディスプレイは、モバイルフォーンやコンピータなどの機器で日常的に見られるカラーディスプレイとは違う。後者は、近接設置された赤、緑、青の小さなLEDsで構成されており、これにより白色光を生成する。各LEDの色は、それを作る分子、つまり色素に依存している。しかし、LEDsの製造は比較的高価であり、発光型ディスプレイのグローバルユースは、消費電力が多い。別のタイプのディスプレイ、反射型ディスプレイは、Eリーダーとして使われるタブレットコンピュータ、電子ラベルなどの目的で研究されてきた。反射型ディスプレイは、周囲からの入射光の反射の仕方を制御することで画像を形成する。つまり、独自の光源は不要である。しかし、ほとんどの反射型ディスプレイは、本質的に単色であり、カラーバージョンの実現は複雑で、結果がよくないことがある。

リンショーピン大学を有機エレクトロニクス研究所の新しく昇進したドクター、論文の筆頭著者、Shangzhi Chenは、Advanced Materialsで新タイプのダイナミック構造色画像について説明している。

「われわれは電気伝導プラスチック、伝導ポリマで構造色画像を生成する簡単な方法を開発した。ポリマは、基板をUV光照射した後、ナノスケールの厚さで、気相重合化として知られる技術によりミラーに堆積される。UV照射が強ければ強いほどポリマ膜は厚くなる。これにより、われわれは、基板上の様々な位置に現れる構造色を制御することができる」(Shangzhi Chen)。

その方法は、可視光の全ての色を作ることができる。さらに、ポリマのレドックス状態の電気化学的変動を利用して後で調整できる。この機能は、モノクロ反射型ディスプレイでも一般的である。ナノスケール厚の空間的制御と組み合わせた光干渉効果を使い、同じ材料がダイナミックなカラー画像を供給することを新しい研究は示している。同大学有機エレクトロニクス研究所、准教授、Magnus Jonssonによると、その方法の潜在的なアプリケーションは多い。例えば、カラー電子ラベル。さらなる研究により、より先進的なディスプレイが製造可能になる。

(詳細は、https://liu.se)