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UCリバーサイド、磁気応答液晶を開発

July, 1, 2014, Riverside--カリフォルニア大学リバーサイドの化学者たちは、外部磁界で即時に、また可逆的にコントロールできる光学特性を持つ液晶を作製した。これは瞬時、非接触磁気操作性を利用する新しいディスプレイアプリケーション、サイネージ、ポスター、タブレット、ビルボードなどに道を拓くものとなる。
 現在電子ディスプレイに使用されている市販の液晶はロッド状またはプレート状の分子で構成されている。電界をかけると分子が回転し、電界方向に整列して伝搬される光の迅速なチューニングができる。
 「われわれが開発した液晶は、本質的には液分布、磁気ナノロッドの単純な水分散液だ」とこの研究プロジェクトのリーダー、化学准教授、Yadong Yin氏は説明している。「磁気ナノロッドを市販の非磁気ロッド状分子の代わりに使用している。光学的にこれらの磁気ロッドは、市販のロッド状の分子と同じように機能するが、それに加えて外部磁界に素早く反応できるという利点がある」。
 同氏の説明によると、磁界をかけるとナノロッドは自発的に回転して磁界方向に整列し、偏光の伝搬に影響を与える。
 Yin研究室が開発した磁気駆動液晶には、固有の利点がいくつかある。まず、外部磁界でリモート操作ができる、電極が不要(市販LCの電気的スイッチングは透明電極を必要とし、これは作製が高コスト)。2つ目に、ナノロッドは市販のLCで使われる分子に比べて遙かに大きい。そのため、分散マトリクスを凝固することで方向を簡単に固定することができる。さらに、磁気ナノロッドを使って薄膜液晶を造ることができる。その方向性は、磁気整列とリソグラフィックプロセスを組み合わせることで全面的に、あるいは選択的に固定することができる。これによって様々な偏光パタンが作れ、選択エリアの偏光伝搬を制御することができる。
 「そのような薄膜は通常の光では視覚情報を表示しないが、偏光下では高コントラストパタンを示すので、偽造防止用途には非常に有用である」とYin氏は指摘している。「これは市販の液晶ではできない。また、われわれの磁気液晶に必要な材料は酸化鉄とシリカであり、これらは市販の有機分子ベースの液晶と比べると遙かに安価であり、エコフレンドリーである」。
 この液晶は、光変調器にも適用できる可能性がある。