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EPFL、新技術で超低損失集積フォトニック回路

April, 26, 2021, Lausanne--EPFLの研究者は、超低損失SiN集積回路を開発した。これは、チップスケール周波数コム、狭線幅レーザ、コヒーレントLiDAR、神経形態学コンピューティングなど、多くのフォトニックデバイスの中心になる。

光に情報をエンコードし、それを光ファイバで伝送することが光通信の核になっている。0.2dB/kmという信じられないような低損失で、シリカ光ファイバは今日の世界通信ネットワークおよびわれわれの情報社会の基盤を形成している。

そのような超低光損失は、集積フォトニクスにも同様に重要である。これは、オンチップ導波路を使って光信号を合成、処理、検出するからである。今日、多くの革新的技術が、半導体レーザ、変調器、フォトディテクタを含む集積フォトニクスを基盤にしており、データセンタ、通信、センシング、コンピューティングで広範に利用されている。

集積フォトニックチップは通常、豊富に存在し、優れた光特性をもつシリコンから作られる。しかし、シリコンは集積フォトニクスでわれわれが必要とする全てに対処できるわけではないので、新しい材料プラットフォームが登場してきた。これらの1つが窒化シリコン(Si3N4)である。これは、著しく低損失であるので低損失が重要なアプリケーションで選択される材料になった。例えば狭線幅レーザ、フォトニック遅延線、非線形フォトニクス。

今回、EPFL基礎科学部、Tobias J. Kippenberg は、記録的に低光損失、小フットプリントのSiN集積フォトニック回路を構築するために新技術を開発した。成果は、Nature Communicationsに発表された。

ナノファブリケーションと材料科学を統合し、その技術は、EPFLが開発したフォトニックDamasceneプロセスをベースにしている。このプロセスを利用してチームは、わずか1 dB/mの光損失集積回路を実現した。これは非線形集積フォトニック材料の記録的な値である。そのような低損失は、チップスケール光周波数コム(“microcombs”)構築で、パワーバジェットを大幅に下げ、コヒーレント光トランシーバ、低雑音マイクロ波シンセサイザ、LiDAR、神経形態学コンピューティング、光原子時計にも利用されている。チームは、新技術を使って、5×5 mm2チップ上にメートル長導波路と高Qファクタマイクロ共振器を開発した。産業製造に拡張する上で重要な、高い製造収率を報告している。

「これらのチップデバイスは、すでに、パラメトリック光増幅器、狭線幅レーザ、チップスケール周波数コムで使われている。われわれは、この技術が、新しいアプリケーション、コヒーレントLiDAR、フォトニックニューラルネットワーク、量子コンピューティングで利用されるのことを期待している」とEPFL。 Center of MicroNanoTechnology (CMi).、Dr Junqiu Liuはコメントしている。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)