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ヨウ化第一銅薄膜で優れたオプトエレクトロニックデバイス

April, 20, 2021, 和光--理化学研究所(理研)の物理学者が、単結晶のみでできた欠陥のないヨウ化第一銅薄膜を製造した。原子的にフラットなサンプルは、優れた半導体の製造を後押しすることになる。

半導体は、レーザやLEDsなど、多くのオプトエレクトロニックデバイスの中核にある。エンジニアは、ハロゲン化物のようなヨウ化第一銅を半導体に使いたいと考えている。それが、室温以上で安定している優れた導体だからである。問題は、不純物のないヨウ化第一銅の真の薄膜を作るのが難しいことである。通常の方法は、溶液から薄膜を堆積する必要がある。「しかし、溶液法ではヨウ化第一銅から高品質の薄膜を作ることができない」と理研創発物性科学研究センタ(CEMS)のMasao Nakamuraは話している。

代わりに同氏の研究チームは、MBEとして知られる代替技術を利用した。同技術では、膜は高温,真空で基板上に徐々に成長させられる。MBEは、半導体製造ですでに一般に利用されている。しかし、ヨウ化第一銅にそれを使うのは難しい。その材料は揮発性が高いからである。プロセス中に、膜に定着するよりも、簡単に蒸発する。この問題を克服するためにチームは、低温で膜の成長を始め、次に温度を上げた。「われわれが新規に開発したこの二段階プロセスは極めて効果的であった」(Nakamura)。

チームには、膜品質を上げる別の手があった。基板としてInAsを選んだ。その格子間隔が、ヨウ化第一銅と非常によく似ているからである。「格子間隔が十分に一致していないと、その材料に欠陥が多くなる」(Nakamura)。

研究チームは、フォトルミネセンス分光法という技術を使い、サンプルの純度をテストした。これは、フォトン、つまり光の粒子を材料面に放射する必要がある。これらのフォトンは、その材料に吸収され、電子を高エネルギー状態に励起すると、電子は新たなフォトンを放出する。放出光をモニタすることでチームは、欠陥のない単結晶膜を製造したことを確認した。「われわれの方法を使うと品質が改善されると考えていた。結果は、期待以上だった」(Nakamura)。

研究チームは、異なるハロゲン化物でできた半導体を挟み、新たな特性の出現を研究することを計画している。「そのハロゲン化物界面に出現する新たな機能や物理学を研究する予定である」(Nakamura)。
(詳細は、https://www.riken.jp)