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ETH-Zurich、鎖の長さが分子の色を決める

April, 16, 2021, Zurich--ETH-Zurichの研究者は、色が簡単に調整できる蛍光ポリマーを開発した。その長さに依存してポリマーは、様々な色を放出する。潜在的なアプリケーションに含まれるのは、生体医療、セキュリティプリンティング、太陽電池。
 世界中で膨大なR&D活動が現在、炭素含有、つまり有機分子に当てられている。これは、適切な励起の後に着色光を放出する。この研究分野は、ディスプレイ産業、バイオメディカルイメージング技術の開発が主導している。有機蛍光染料における正確な色調整はこれまで、普通は様々な分子を混合することで達成されていた。ETH研究者は、分子そのもので化学的調整により幅広い色パレットを生成できるアプローチを開発した。

ETH教授Jean-Christophe Lerouxグループのリーダー、Yinyin Baoとそのチームは、この研究のために蛍光有機ポリマーに注目した。これらのポリマーは、様々な長さの動くチェーンとしてベストであると考えられる。「チェーンは、対称構造であり、その中の2つの成分が蛍光に寄与する。1つの成分、フルオロフォアは、チェーンの中央にある、他方の成分はチェーンの両端のそれぞれで1回起こる」(Bao)。チェーン中央のフルオロフォアをチェーン両端と結合すると、その数と構造を研究者が調整できるリンクになる。両端の1つがフルオロフォアに接近するようにポリマーチェーンを曲げ、同時にそのチェーンにUV光を照射すると、それは蛍光を発する。

距離が相互作用に影響
研究者は、蛍光色がチェーンリンクの構造と両端に依存するだけでなく、チェーンリンクの数にも依存することを示すことができた。「これらのポリマーの蛍光に関与しているのは、チェーン端とフルオロフォアの相互作用である。その2つの成分間の距離が、相互作用の仕方、したがって放出光の色に影響する」(Bao)。

リビング重合という方法を使い研究者は、チェーンリンクの数を調整できる。まず、フルオロフォアにビルディングブロックをゆっくりと接続するプロセスでチェーンを徐々に延ばす。所望の長さに達したら、そのプロセスを終結し、同時にチェーン端分子を生成する。これは、多様な色のポリマーを作り出した方法である。18以下のビルでイングブロックで、その分子は黄色の蛍光を発する。25のチェーンリンクで緑、44以上で青を発光する。「これの何が特別なのかは、これら多様に発光するポリマーがすべて正確に同じ成分で構成されることである。唯一の違いは、チェーンの長さである」とBao。

広いカラーオレンジOLEDs
研究チームは、成果をScience Advancesに発表した。チームは現在、イエロー、グリーン、ブルーで蛍光ポリマーを作れるが、その原理を拡張して、赤を含む他の色を含むように取り組んでいる。

これらの新しい蛍光ポリマーは、デイスプレイのOLEDsとしては直接利用できない。その電気伝導性が十分に高くないからである。しかし、同じ方法で幅広いオレンジOLEDsを生成するには、そのポリマーと半導体分子を組み合わせることで可能になるはずである。集光型太陽光プラントで使うと、一段と効率よく太陽光を集光でき、プラントの効率を高めることができる。蛍光を使うラボの診断法にもアプリケーションがある、例えばPCR。また細胞生物学や医学では顕微鏡やイメージング法。他の可能な用途は、紙幣のセキュリティ機能、認証、パスポートなど。

(詳細は、https://ethz.ch)