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ゼブラフィッシュの心臓収縮計測に組織組込マイクロレーザを利用

April, 12, 2021, St Andrews--セント・アンドルーズ大学(University of St Andrews)の研究者は、心臓細胞や組織に埋め込んだ微小レーザを使うと他の光ベースの技術よりも数倍深い位置で、生きたゼブラフィッシュの心臓組織の収縮を高分解能で計測できることを示した。鼓動する心臓の単一の細胞の収縮特性を評価できることで、心臓病についてわれわの理解を深め、新しい治療の進歩に役立てることができる。

セント・アンドルーズ大学のMarcel Schubert が、4月のOSA Biophotonics Congress: Optics in the Life Sciencesで、その研究を紹介することになっている。

「マイクロレーザは、イメージング法が適用できないような組織深部の生物物理学的信号を明らかにすることができる。将来的には、この技術が、ますます増大する心臓病の負担を克服する際に役立つ。人工心臓組織や再生心臓両方の開発をガイドするからである」とコメントしている。

光を使って心臓鼓動を分析、あるいは撮像することは、容易ではない。組織は絶えず動いており、心臓の高密度筋線維は、光を散乱、吸収するからである。マルチフォトンイメージングのような最先端の顕微鏡技術は、脳では1㎜の深さまで撮像できるが、心臓の厳しい環境は、機能的イメージングを100µm程度に制約する。

新しい研究で、チームは、直径15µmの球形マイクロレーザを使用する。その独自の放射特性により、これらのレーザは、高い信号強度や短い取得時間を必要とするアプリケーションでよく機能する。

チームは、そのマイクロレーザが新生仔マウス心筋細胞に内在化できることを確認した。細胞の内部で、マイクロレーザは、筋繊維を形成する収縮線維、筋原繊維と直接接触する。細胞が収縮すると、それはレーザが接触している筋原繊維の屈折率を変え、検出可能なパル形状の揺動がレーザ波長に生成される。屈折率のこれらの変化は、収縮性に直接関連している。

研究チームは、ゼブラフィッシュ胚の心臓外壁にマイクロレーザを注入し、詳細な収縮プロファイルを記録した。結果から分かったことは、その技術が心臓の速い動きの影響を受けないことである。その新しいアプローチは、心臓組織の厚い部分でも機能する。これは、薬剤スクリーニングや再生心臓治療のテストに利用できる。これらの組織部分では、マイクロレーザ信号と心臓の収縮は、400µm厚までの組織を通して計測可能である。

「われわれの研究チームは、マイクロレーザが様々なセンサとして使えることを示している。複雑な画像再構成や組織安定化プロセスなしで細胞の収縮特性を高信頼に評価できる。将来的に、このアプローチは、移植細胞や培養心臓組織の研究にも使える」とSchubertはコメントしている。

研究の次のステップは、マイクロレーザのサイズ縮小、生体適合性の改善。さらに重要なことは、マルチフォトン励起あるいは赤外放出レーザに変えることで、光浸透度が著しく増加し、鼓動する心臓内深くの収縮を検出できるようになる。