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ダイヤモンドを用いた広帯域波長変換に成功

pr20210318-1

April, 5, 2021, つくば--筑波大学、北陸先端科学技術大学院大学の研究チームは、フェムト秒(fs)の時間だけ赤外域の波長で瞬く超短パルスレーザを、NVセンターを導入した高純度ダイヤモンド単結晶に照射し、表面近傍から発生した第三高調波に加えて、第二高調波を世界で初めて観察することに成功した。
 波長1350nmの赤外パルスレーザ光を励起光として照射すると、第二高調波が1/2波長の約675nmに、また第三高調波が1/3波長の約450nmに発生することが明らかになった。この時、レーザを照射されたダイヤモンド単結晶は紫色(赤色と青色の混成色)に発光していることが分かる。
 従来のダイヤモンド中NVセンターの研究では、連続発振グリーンレーザ(波長532nm)を照射した際に、NVセンターの欠陥準位を介した発光が、約660nmを中心とした波長領域に現れることが分かっている。このような既知の発光である可能性を取り除き、今回観測された約675nmの発光が第二高調波発生であることを確かめるため、励起レーザの波長を掃引して波長変換特性を調べた。その結果、励起レーザの波長の変化に応じて、第二高調波だけでなく第三高調波の発光波長が逐次変化することが確かめられた。これにより、今回観測された発光は、常に660nmを中心とした波長領域に観測される従来の欠陥準位を介した発光ではなく、欠陥により結晶の対称性が崩れることによる2次の非線形光学効果、すなわち第二高調波発生であることが明らかになった。さらに、その変換効率は短波長ほど大きくなり、最高で5×10-5に達することが分かった。今回、第二高調波がダイヤモンドの表面近傍約35nmの非常に薄い領域から発生していることを鑑みても、極めて高い変換効率であることが分かる。
 また、励起レーザの偏光角を回転させることで、第二高調波と第三高調波の発光強度の変化を調べたところ、それらの偏光角依存性はNVセンターを導入する前の高純度ダイヤモンドのパターンとは明らかに異なることが分かった。特に、NVセンターを導入したダイヤモンドでは、第二高調波と第三高調波のパタンが若干の回転を除けば非常に似ていることが分かり、これらのことから、第三高調波は第二高調波が駆動力になっていることも示唆された。

 研究チームは、2次の非線形光学効果である第二高調波発生や電気−光学効果を用いた量子センシング技術を深化させ、最終的にダイヤモンドを用いたナノメートルかつ超高速時間領域(時空間極限領域)での量子センシングの研究を進めている。今後は、フェムト秒パルスレーザ技術が持つ高い時間分解能と、走査型プローブ顕微鏡が持つ高い空間分解能とを組み合わせ、ダイヤモンドのNVセンターから引き出した2次の非線形光学効果が、電場や温度のセンシングに応用できることを示していく。さらに、今回の成果は、ダイヤモンドNVセンターにより、2次の非線形光学効果のみならず、4次、6次以上の高次の非線形光学効果の開発に貢献することが期待される。

(詳細は、https://www.jaist.ac.jp)