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MIT、新しい「メタレンズ」、チルトや移動なしで焦点を変える

March, 3, 2021, Chalmers--MITのエンジニアは、物理的な位置や形状を変えることなく、複数の深さで対象に焦点を合わせることができるチューナブル「メタレンズ」を作製した。そのレンズは、固体ガラスではなく、透明な「位相変化」材料でできている。その材料は、加熱後、その原子構造を再配置し、材料と光との相互作用の仕方を変える。

研究チームは、材料の表面に、微小で正確なパタン構造をエッチングした。これらが連携して「メタサーフェス」となり、独自の仕方で光を屈折、反射させる。その材料の特性が変わるにしたがい、メタサーフェスの光学的機能が、それにしたがって変わる。この場合、材料が室温の時、そのメタサーフェスは、一定の距離で対象の鮮明な画像を生成するように光の焦点を合わせる。その材料が加熱されると、その原子構造が変わり、それに応じて、メタサーフェスは、もっと遠くの物体に焦点を合わせるように光の方向を変える。

こうして、その新しいアクティブ「メタレンズ」は、大きな機械的素子なしで、その焦点を調整できる。その新設計は、現在は赤外帯域内でのイメージングであるが、より機敏な光学デバイスを実現する可能性がある。ドローン用の微小ヒートスコープ、携帯電話用の超コンパクトなサーマルカメラ、ロープロファイル暗視ゴーグルなど。

「われわれの超薄型チューナブルレンズは、パーツを動かすことなく、様々な深さのオーバーラップした対象の収差なしのイメージングを達成し、従来の大きな光学システムに対抗できる」とMITの材料研究所の研究者、Tian Guはコメントしいる。
研究成果は、Nature Communicationsに発表された。

材料の微調整
その新しいレンズは相転移材料でできている。これは、書き換え可能CDs、DVDsで一般に利用されている材料を微調整することで、作製した。それは、GSTと呼ばれており、ゲルマニウム、アンチモン、テルルで構成されていて、レーザパルスで加熱するとその内部構造が変化する。これによりその材料は、透明と不透明状態の間で切り替わる。CDsにデータを書き込んで蓄積し、消去し、また再書き込みするメカニズムである。

今年初め、チームは、GSTにもう1つの元素、セレンを加え、新しい相転移材料、GSSTを作製した。その新材料を加熱すると、その原子構造がアモルファスから、原子のランダムなもつれになり、より秩序化された結晶構造にシフトした。この相シフトも赤外光がその材料を透過する仕方を変え、屈折力に影響を与える。しかし、透明性への影響は僅少である。

研究チームは、GSSTのスイッチング機能を調整して、その相に依存した特定点で光の方向付けと焦点合わせを検討した。そうなると、その材料は、焦点を変えるための機械的パーツ不要のアクティブレンズとして使える。

「一般に、光学デバイスを作る際、製造後にその特性を調整することは非常に難しい。この種のプラットフォームが光学エンジニアの至高の目標である理由はそれである。つまり、そのメタンズは、広い範囲で効率的に焦点を変えることができる」とShalaginovは話している。

ホットシート
従来のレンズでは,様々な角度で入力光ビームをレンズから屈折させ、レンズの焦点長として知られている一定の距離のある点で収束するようにガラスは精密に湾曲している。するとレンズは、その特定の距離でどんな対象でも鮮明な画像になる。異なる深度で対象を撮像するには、レンズは物理的に動かされなければならない。

光を方向付けるために材料の固定曲率に依存するのではなく、研究者は、材料の相で焦点長が変わるような方法でGSSTベースメタレンズを改良することに眼を向けた。

新しい研究では、1-µm厚層のGSSTを作製し、様々な方法で光を屈折させる多様な形状の顕微構造にGSST層をエッチングすることで「メタサーフェス」を作製した。

「多様な機能間を切替えるメタサーフェスを構築するのは高度なプロセスであり、どんな種類の形状とパタンを利用するかという思慮深いエンジニアリングが必要になる。材料の挙動の仕方を知ることで、われわれは、ある点でアモルファス状態で焦点を合わせ、結晶相で別の点に焦点が変わる特殊なパタンを設計できる」とGuは説明している。

研究チームは、その新しいメタレンズをテストした。それをステージに設置し、レーザビームの照射を光の赤外帶に調整した。レンズ前方のある距離に、研究チームは、解像度チャートとして知られる水平と垂直のバーの両サイドパタンで構成された透明な物体を設置した。チャートは、光学システムのテストに一般に利用されるものである。

レンズは、当初、アモルファス状態であり、最初のパタンの鮮明な画像を生成した。次に、チームは、レンズを加熱して、その材料を結晶相に移行させた。移行後、光源を除去すると、レンズは同じように鮮明な画像を生成した、今度は第2の離れた位置のバーである。

「われわれは、2つの異なる深度でイメージングを実証した。いかなる機械的な動きもなかった」とShalaginovは言う。

実験は、メタレンズが、機械的動作なしで、アクティブに焦点を変えられることを示している。研究チームによると、メタレンズは、マイクロヒータ組込で製造可能であり、短いミリ秒パルスで、その材料を素早く加熱することができる。加熱条件を変えることで、他の材料の中間状態に調整することもでき、連続的な焦点調整が可能になる。

「将来的には、この独自のプラットフォームによりわれわれは、メタレンズの焦点長を任意に制御できるようになる」とShalaginovは話している。

(詳細は、https://news.mit.edu)