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香港技術大学、体内の微妙な圧力変化を計測する微小センサを開発

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February, 22, 2021, Rochester--香港技術大学(Hong Kong Polytechnic University)の研究チームは、極めて高感度な小型光ファイバセンサを開発した。これは、いずれ体内の小さな圧力変化を計測するために利用できる。

同大学研究チームリーダー、Hwa-Yaw Tamは「われわれの新しい圧力センサは、医療応用向けに設計された。シリカベースのファイバを使う問題の多くを克服している。呼吸しながら肺内部の圧力を計測できる感度である。これは、わずか数キロパスカルの変化である」と説明している。

Optics Lettersに発表された論文では、センサはZeonexという新しいポリマーで作製されたファイバにFBGを描き込んでおり、2キロパスカルの圧力変化を検出できた。

「われわれのFBGセンサは、様々な医療アプリケーションで利用できる。生体適合であり、ファイバは化学的に不活性、また湿気の影響を受けないからである。われわれの究極の目的は、この種のセンサを使って、動物や人々の体内の圧力、温度、歪を含む様々なパラメータのモニタである」とTamは説明している。

ポリマーセンサの作製
多くのファイバオプティックセンサはFBGベースである。FBGは、ファイバに描き込むことができる周期的マイクロストラクチャ。圧力が上昇するとファイバはわずかに伸び、グレーティング周期が拡大する。これによって屈折率が変化し、光出力をスペクトルの赤色端へシフトさせる。同様にして、圧力の低減は、青色シフトになる。

従来のシリカ光ファイバからのFBGセンサ作製は、医療アプリケーションには適していない。特に体内で長期利用に関係するアプリケーションでは不適切。これらのファイバは、比較的高剛性であり、脆弱だからである。シリカファイバに埋め込まれたFBGは、材料の伸縮が容易でないため、小さな圧力変化に対する感度が制約される。ポリマー光ファイバは開発されているが、水を吸収しやすく、これは計測に影響を及ぼす。また、FBGの描き込みが容易でない。

こうした問題を克服するために研究チームは、最先端のポリマーZeonexに眼を向けた。この新しい材料は化学的に不活性であるとともに、体内のような水の環境で良好に機能する。また、シリカファイバに比べて、圧力変化への反応で高い光シフトを示す。異なる屈折率の材料にするためにファイバコア内および外側クラッドにドーパントを利用することがあるが、チームはZeonexの異なるグレードを使って単一材料のファイバを造ることで製造プロセスを簡素化した。

「ドーパントの利用を排除することで光ファイバの製造再現性がよくなっている。われわれはエキシマレーザを使って、簡単にFBGを描くことができ、コアに平行なサイドホールを付加することができる。サイドホールは、圧力計測感度を高め、遅延を大幅に低減するので、計測精度が向上する」とTamは説明している。

高分解能、読取り再現性
新しいセンサ実証のために、研究チームは、そのパフォーマンスを従来の同等設計ポリマーベースセンサと比較した。センサをチャンバに設置。そこで、圧力を段階的に大気圧以上および以下に手動で増減された。対応する光シフトは、両方のセンサともリアルタイムモニタした。

サイドホール設計のZeonexベースセンサが、線形、反復可能な反応を示し、遅延、エラーは無視できるほどであることを確認した。そのセンサが、50キロパスカル以上までの低圧計測、あるいは2.0キロパスカル分解能で大気圧以下計測に使用できることが実験から分かった。圧力計測の感度は、従来のポリマーベースセンサと比べて80%の向上である。

「圧力センサは、圧力の変化が数キロパスカル以上、および大気圧以下のオーダーの条件で最も有用である。医療および耕地環境で低圧センシングに、またガスコンテナの圧力変化の検出に有用である」(Tam)。

研究チームは、現在、センサの反応時間をさらに短縮することに取り組んでいる。現状は、数十妙である。また、他の物理的、化学的パラメータ、pHなどの計測、特定ガスの圧力を検出できるようにプローブ機能を拡張することを考えている。