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ITMO、THzホログラフィッ分光計を作製

December, 24, 2020, St. Petersburg--ITMO大学の研究者は、テラヘルツホログラフィック分光計を開発した。これは、電磁放射の渦ビーム研究に必要なものである。研究は、ワイヤレスデータ通信向けの新しい効率的な技術の開発の一部である。

ITMO大学のデジタル・ディスプレイホログラフィ研究所の研究者は、数年前から電磁波の超広帯域THzビームを研究している。このビームは、Wi-Fiを大幅に上回る画期的な高速ワイヤレス接続チャネル構築に役立つと言われている。

Nikolay Balbekinによると、ロシア科学財団プロジェクトの一環としてジャミング防止ワイヤレスデータ通信の研究が行われている。「それは,特定の構造でTHz放射ビームを利用したデータ伝送をベースにしている」。

とは言え、THz放射を利用した情報伝送を実施する前に、最適ビームを見つけるために多様なタイプのビームを調べる必要がある。THz放射における電子場の擾乱を見つける実験に特別な分光計を必要としている。

Yaroslav Grachevは、「ビーム内に空間分布という手段で情報を符号化する計画である。ビーム内では、放射の波面がスパイラルになる。その情報をデコードするために、この分布を検出する必要がある。干渉がスパイラル形状を変えると、その情報は歪められる。そのため、われわれは、続いて起こるビームの変化の全てを空中分布の間に、予測する必要がある。THzホログラフィック分光計の助けを借りて、フェムト秒インパルスを印可することで電磁場の振動を検出することができる。それは、電磁場で素早く起こる変化の写真を撮るようなものである」と説明している。

しかし、従来技術では,放射ビーム解析に必要な高速「写真」を撮ることはできない。

Yaroslavによると、「プロジェクトのために必要な計測は数年かかり、必ずしも正確な結果にはならない。デバイスに沿って動かすことができ、素早く計測できる検出システムのために別のモジュールを造る必要があった」。

研究チームは、アウトソーシングする代わりにデバイスを自作することにした。

ITMO大学のリクエストで作製された電気光学結晶は、新しいデバイスの中核となり、ディテクタとして機能するはずであった。結晶は、THz照射の影響で、その光学特性を変える。この変化は、スーパーショットレーザインパルスによって計測できる。THz信号が強力になればなるほど、レーザ照射強度の変化はますます大きくなり,ビデオカメラで検出できる。

デバイスは、40時間ではなく、妥当な時間で各計測を一段と効率的に実施できる見込だった。構築は、3Dプリンタでプリントした多くの固有のパーツを含んでいた。その設計には1年かかったが、次の開発フェーズは手に届くところにあった。

なんとかしてデバイスは完成された。次のステップは実験である。
 実験は一週間かかり、有望な結果が得られた。ホログラフィック分光計により、16×16×30㎜正方形でTHz放射分布を10分で記録できることが証明された。しかし、研究者によると、この数字は限界ではない。

研究チームは、プロジェクトの一環として超高速ワイヤレスデータ転送実験を行う必要がある。THz域で高分解能の明確な画像を得るためにフェムト秒レーザビームの空間フィルタリングに取り組むこと、THz渦巻ビームの形成に関連する多くの他の実験、そのフリースペース伝搬の研究などが、今後の課題である。

デバイスは、THz放射の計測を必要とする他のプロジェクトにも適用可能である。

(詳細は、https://news.itmo.ru)