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レーザでウイスキーの真偽を判定

December, 4, 2020, St. Andrews--セントアンドルーズ大学の研究チームは、レーザを使って世界で最も高級なウイスキーの真偽を、キャップをとることなく、正確に計測する画期的な新技術を開発した。

ウイスキーの象徴的なボトルの販売価格は、100万ポンドと言われている。しかし、そのようなウイスキーのオーナーであれば、そのボトルの内容が本物であることを信じることができるか。EU知的財産権庁の2018年調査によると、偽造飲料のコストは、UK経済では、毎年失われた収益で2憶ポンドを超える。

Analytical Methodsに発表された物理学と天文学部の研究チームの新研究は、内容物を分析するためにボトルを透過できるレーザを使う方法の開発だった。それをするための課題は、ガラスからの信号を記録することなく内容物からの信号を記録することだった。

チームは、レーザ分光学という方法を利用した。レーザ光を関心のある物質に照射し、サンプルが光を多様な色に散乱させる。散乱光の正確な色は、その物質の化学的組成に依存するので、バクテリア、食品から飲み物、彫刻のペイント、爆薬までの材料を特定するために利用できる。

セントアンドルーズの研究チームは、10年前にレーザ分光学を使って偽造ウイスキーを判定できることを実証した。しかし、以前の方法は、アルコールが光を散乱する唯一の物質でないことにより妨げられた。ボトルのガラスが作る信号の方が大きく、これによって内容物が生成する信号が小さくなる。したがって、以前のセットアップは、テストのために液体の少量を取り出す必要があった。

ポスドク研究者グループ、Holly Fleming、Mingzhou Chen および Graham Bruceは、Kishan Dholakia教授の指導で、ボトルの内容物を正確に計測する新方法を開発した。標準的なビームでボトルを照射するのではなく、チームはガラス素子を使って光を成形し、ボトル表面にリング状のレーザ光を作り、液体内容物の中に強く集光するスポットを形成した。ボトルからの信号と液体からの信号が、異なる位置にあるので、ディテクタは液体からの信号だけを記録するように設定できる。つまり、ボトルの内容物は、ボトルを開けることなく評価できる。

そのアプローチは、複雑な光学的セットアップを必要としないので、幅広い用途に簡単に製造できると考えられる。ウイスキーが好みでなくても、研究チームはウォッカやジンを使ってその方法も実証した。将来的には、一滴も無駄にすることなく、高価なアルコールが本物であることを証明できる。
(詳細は、https://news.st-andrews.ac.uk/)