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Science/Research 詳細

筑波大学、赤外光を通すバイオマス新素材開発

October, 29, 2020, つくば--筑波大学の研究チームは、藻類オイルや植物由来の精油成分など持続生産可能な資源と、石油の精製過程などで生じる余剰資源のイオウから、赤外光透過性とゴムのような弾力性を併せ持つ高分子材料を開発した。原料を混ぜ合わせて加熱するだけの簡単なプロセスで合成することができ、原料と製造方法の両面から環境負荷の低い材料と言える。また、任意の形に成型できる加工性の高さも特色。

 持続可能な社会の実現に向け、環境への負荷が少ない材料や合成法の開発が求められている。その一つとして注目されているのが、藻類が作る炭化水素(オイル)。藻類は、オイルを作り出す過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、製造に伴うCO2排出量が差し引きでマイナスとなる「カーボンネガティブ材料」になることが期待されている。化石燃料に替えて活用すれば、地球温暖化対策にも有益である。

今回、この材料をレンズ形状に加工し、伸縮させることで、赤外光の焦点位置を調節することにも成功した。この機能を活用すれば、複雑で高価な機械式レンズ駆動機構を簡略化できる。

赤外光用のレンズは、遠隔監視用カメラや安全・防犯のためのセキュリティカメラ、工業製品の検査装置用カメラなど、幅広い用途で活用されている。IT化、ネットワーク化の進展とともに、その重要性は増々高まるものと考えられる。しかし、従来の材料は加工が難しく、高価だった。

今回の研究成果は、加工が容易で安価な赤外光透過材料の開発という、社会のニーズに応える端緒となることが期待される。

(詳細は、http://www.tsukuba.ac.jp/)