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Si基板上へのグラフェン物性の作り分けに初めて成功

June, 5, 2014, Sendai--東北大学電気通信研究所の吹留博一准教授・末光真希教授らのグループは、他の研究グループと共同で、有望な次世代デバイス材料であるグラフェンを、Si基板上に三次元集積的に成長させることに初めて成功した。さらに、この方法により、グラフェン物性の作り分け(金属性vs.半導体性)にも成功した。 今回の成果は、将来的なグラフェンとSiが融合した電子・光デバイス混載回路への道を拓くものである。
 炭素の二次元物質であるグラフェンは、Siの100倍以上のキャリア移動度を有し、かつ、熱的・化学的にも安定な物質。2020 年頃に終焉を迎える Si 集積回路の代替となる次世代デバイス材料の一つとして、全世界で開発競争が行われている。
東北大通研の研究グループでは、既存のシリコンデバイスとの融合を企図した、Si基板上へのグラフェン(GOS)の作製及びそのデバイスの研究開発を行ってきた。GOS技術は、Si 基板上に単結晶SiC薄膜を成長させ、このSiC薄膜表面にグラフェンを形成するという技術。このGOS技術は、成熟したSi技術の利用が可能であるため、グラフェンの実用化に可能にする重要な技術になると期待されている。さらに、Si基板の面方位を適切に選択することにより、グラフェンの物性の作り分け(金属性vs.半導体性)が可能であることを明らかにしている。
 この技術とSi微細加工技術による異なる面方位を露出させることにより、グラフェンの物性をナノスケールで作り分けすることが可能となると考えられる。
 研究では、微細加工により異なる面方位が露出したSi基板を用いて、異なる物性を有するグラフェンの作製を狙った。MEMSを用いて、Si(100)基板上に Si(100)面に加え Si(111)微斜面を作り込んだ。この基板上にSiC薄膜を作製し、試料を1250℃で加熱することにより最表面にグラフェンを作製した。
 このグラフェンに関して、SPring-8の東京大学アウトステーション BL07LSUに設置されている三次元ナノESCAを用いて界面化学結合状態を、理研BL17SUの光電子顕微鏡注6を用いてグラフェンの積層構造を調べた。さらに、顕微Raman分光法を用いて、グラフェンのバンド構造を評価。その結果、当初の狙い通りに、Si(111)微斜面上では半導体性グラフェンに、また Si(100)上では金属性グラフェンに作り分けることに初めて成功した。
 半導体性グラフェンは電子デバイス応用に、金属性グラフェンは光デバイス応用に適している。今回の成果は、同一Si基板上に異なる機能を有するデバイスをグラフェンを用いて作製することを可能にした。このことは、同一Si基板上にグラフェンを用いた電子デバイス・光デバイスを混載させた超高速回路の作製が可能となることを示唆しており、テラヘルツデバイス開発へ向けた大きな前進であると言える。
(詳細は、www.tohoku.ac.jp)

共同研究に参加した他の研究グループ: 川合祐輔助教(東北大学大学院工学研究科)・尾嶋正治特任研究員(東京大学放射光連携研究機構、名誉教授)・小嗣真人博士(高輝度光科学研究センター)・堀場弘司(東京大学放射光連携研究機構(現 KEK 物質構造科学研究所))・永村直佳助教(東北大学多元物質科学研究所)