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EPFLのスピンオフ、超高速水中通信ができる光Wi-Fiを開発

September, 29, 2020, Lausanne--EPFLスピンオフ、Hydromeaは、海面下6000メートルで動作可能な小型光モデムを開発した。それは、50m以上離れたソースから高速にデータを収集できるだけの感度がある。

水中で接続デバイスを利用したい場合、選択肢は多くない。電波はあまり良く機能しない。簡単に水に吸収され、1メートル以上遠くへは届かない。多くのセンサは、有線接続のみであるが、そのデータを回復するには水中からデバイスを取り出さなければならないので実用的ではない。音響通信がよく使われるが、スピードが遅くて信頼度が低い。水中の建設、検査、モニタリング、修復活動、例えば海洋エネルギー部門では、これらは大きな障害となる。

しかし、Hydromeaのエンジニアは光を使ってデータを海や湖の表面下に送るソリューションを考案した。エンジニアチームは、LUMAと名付けた水中モデムを開発した。これは、青色光を高速点滅させることで通信する。モデムはデータを光パルスに変換して送信、あるいは逆に受信した光パルスをデータに変換する。「全てが瞬きのようなものである。われわれの光モデムは、水中接続で高速ワイヤレスとなる」とHydromeaのCOO、Alexander Bahrは説明している。

「水は一般に電磁波に対して不透明であるが、ブルーとグリーンに小さな透明帯域があるので、われわれは青色光を選択した。われわれのシステムが、長距離でデータを送受するのはそのためである」と同社のCTO、Felix Schillは説明している。水はほとんどの波を直ぐに吸収する、特に赤外波は吸収するが、ブルーとグリーンの光は水を透過する。太陽の赤や黄色の波は、わずか数メートルで吸収される。

LUMA開発で最大の問題は、十分遠くまでデータを送り、あらゆる種類の条件下で信頼度よく機能することを保証にすることであった。「光は一般に水中では急速に散乱するので、50mあるいは100mの距離を伝送する方法を見つけるのは難しかった。われわれは、かなりの時間をかけて、遠くからの微小な光パルスを捉えるだけの感度のレシーバを開発した」とSchillは言う。

LUMAは、6000mまでの深さで機能するように設計されている。プラスチックパッケージに完全に内包されており、強い水圧で壊れないように透明プラスチックに完全に収容されている。同システムは、すでに太平洋、海面下4280mでドイツのAlfred Wegener Institute for Polar and Marine Researchの研究者がテストした。Bahrは、「われわれは後に、海洋活動している企業から連絡を受けている。水中パイプラインの敷設、海洋風力発電ファームの基盤構築のために、われわれの技術に興味を示した企業である」とコメントしている。

BahrとSchillは、2004年にオーストラリアの学生時代に水中WiFiシステムの研究を始めた。数年かけてその詳細を具体化し、EPFLのポスドク期間中にそれを仕上げた。現在、まだEPFLと協働している。LéXPLOREのためのロボットや通信システムの開発である。LéXPLOREは、ジュネーブ湖の沖合にある研究プラットフォーム。

そこで、湖水学者がLUMAを使って定期的に水中で収集したデータをチェックし、計測装置が正しく機能していることを確認している。センサは、水中に何ヶ月も設置される必要がああるからである。一つのモデムがデータロガーにインストールされている。ここで水中センサからの科学データを収集する。他方のモデムは、水中ロボットに設置されている。ロボットは、センサが設置され、センサのデータをすぐに収集するところまで潜水する。「LéXPLOREの研究者は、特定ニーズについてフィードバックを返してくれる。これは、われわれのモデムの性能をさらに改善するために役立つ」とBahrは話している。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)